「Jagged Edge – Genie」他、週刊新譜る10(2019/10/30~11/6)

「Jagged Edge – Genie」他、週刊新譜る10(2019/10/30~11/6)
 

週刊新譜る10 [2019年10月30日~11月6日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年10月30日から11月6日の間にリリースされたものから選出。

Jagged Edge – Genie


ビデオ公開日2019年10月31日
収録タイトルA Jagged Love Story [リリース予定日不明]
元ネタ

Georgia州AtlantaのベテランR&Bグループ、Jagged Edgeの新作ミュージックビデオ。現行シーンの音使いを取り入れたビートに合わせ、コッテリと彼ららしい歌声を聴かせる。彼らの変わらない正統派なR&B(と、ギャングスタなファッション)を貫く姿勢がとにかく嬉しい。近年の”ラップ”ファンと言える方々にも、こういったブラックミュージックらしいソウルフルな魅力を感じていただきたい。

Slim Thug – I L.A.M.B feat. Z-Ro & Jazze Pha


ビデオ公開日2019年11月1日
収録タイトルSuga Daddy Slim: On tha Prowl [2019年2月14日リリース]
元ネタ

Texas州Houstonのラッパー、Slim Thugの新作ミュージックビデオ。同郷からZ-Roを、Georgia州AtlantaからJazze Phaを招いた曲。コーラスの出だしがZ-Roっぽく聴こえなくもないが、恐らくビートとコーラスはPhaが、客演ヴァースをZ-Roが務めた形だろう。ユルくどっしりと構えるそのサウンドはHoustonのご当地サウンドと言え、同地の実質トップと言えるThugとZ-Roの組み合わせもたまらない。三者全員がベテラン、円熟した大人な南部HipHopだ。

Blue Meth – Winnebago feat. Method Man


ビデオ公開日2019年10月30日
収録タイトルReign [リリース予定日不明]
元ネタ

UKはロンドンのラッパーBlue Methの新作ミュージックビデオ。New York州Long Island出身で、伝説的グループWu-Tang Clanのメンバーとしても知られるMethod Manを客演に招いた曲。Method Manの独壇場かと思いきや、主役のやさぐれたフロウもかなり良い。明らかにあのプロデューサーの影響を感じさせるビートも、怪しさ満点で癖になる。

The Game – Stainless  feat. Anderson .Paak


ビデオ公開日2019年10月31日
収録タイトルBorn 2 Rap [2019年11月29日リリース予定]
元ネタKool & the Gang – Winter Sadness [1975年]

California州Comptonのラッパー、The Gameの新曲ビデオ。同州OxnardのシンガーAnderson .Paakを客演に招いた曲。主役のヴァースは、Nipsey Hussle、OutlawzのHussein FatalとYaki Kadafiといった亡きラッパー達から、Suge KnightやDr.Dreといった自身と関係の深い存在、更に“2Pac – Picture me rolling”と同じ元ネタがサンプリングされていることからそれに絡めた内容も綴られていて、聴きどころが多い。Anderson .Paakの哀愁漂うコーラスも深みを持たせる。

Quincy – Options feat. King Combs


ビデオ公開日2019年11月1日
収録タイトル
元ネタ

現在California州Los Angelesを拠点に活動する、あのP.Diddyの息子で俳優/シンガーとして活動するQuincyと、弟King Combs(Quincyは母Kim Porterの連れ子であるため、二人は厳密には異父兄弟)による新作ミュージックビデオ。スムースなビートに合わせ、両者共に耳馴染みの良いアッサリとした歌声/ラップを聴かせる。それにしてもKing Combs、益々Diddyに似てきた気も。

DJ Kay Slay – Hocus Pocus feat. Blueface, Moneybagg Yo, A Boogie Wit Da Hoodie


ビデオ公開日2019年10月31日
収録タイトル
元ネタ

New YorkはHarlem出身のDJ、Kay Slayの新作ミュージックビデオ。Los AngelesからBlueface、Tennessee州MemphisからMoneybagg Yo、New YorkはBronxからA Boogie Wit Da Hoodieと、全米各地から勢いのあるラッパーを招いた曲。ハロウィンに合わせてリリースされたもので、タイトルもハロウィンの夜を舞台にしたファンタジー映画「Hocus Pocus(1993年)」から取られている。Kay Slayにしては(実際に彼が制作した訳ではないだろうが)珍しく西寄り、というかBlueface寄りのビートなのは意外だが、今や西海岸以外にも飛び火しているこの手のサウンド。そんな流れにサラッと便乗し、今回のようなイマドキな面子を集める辺りが”ドラマキング”らしい。

Euro Gotit – ReUp feat. Yella Beezy


ビデオ公開日2019年10月31日
収録タイトル
元ネタ

Georgia州AtlantaのラッパーEuro Gotitの新作ミュージックビデオ。Texas州DallasのからYella Beezyを招いた曲。Trap+メロディアスなフロウはありがちなサウンドではあるがケロらせていない点が好印象で、両者共に安定感もある。地味ながら、ついリピートしたくなるような中毒性を感じさせる。

Young Dolph – Tric Or Treat


ビデオ公開日2019年10月30日
収録タイトル
元ネタ

Tennessee州Memphisのラッパー、Young Dolphの新作ミュージックビデオ。DaBaby、21 Savageなどを手掛けるAtlantaのプロデューサーPyrex Whippaによる不穏なビートは、Memphisのご当地サウンドに通じるものがあり、相性の良さを感じさせる。普段からドロドロしたサウンドが多いYoung Dolphだが、ハロウィンに合わせた曲だけにいつも以上にダークなラップを聴かせる。

Teyana Taylor – Morning feat. Kehlani


ビデオ公開日2019年10月31日
収録タイトル
元ネタ

New YorkはHarlemのシンガー、Teyana Taylorの新作ミュージックビデオ。California州OaklandのからKehlaniを招いた曲。とにかく凄まじくエロいリリックと、大よそその内容が推測出来るビデオが強烈。両者の歌声からビートに至るまで全てが妖艶な空気を纏っていて、その世界に引き込まれる。

Domingo – Murda feat. Duke Deuce


ビデオ公開日2019年11月4日
収録タイトルQuality Control: Control the Streets, Vol. 2 [2019年8月16日リリース]
元ネタ

Georgia州Atlantaのラッパー、Domingo (Migo Domingo)の新作ミュージックビデオ。所属レーベルQuality Control のコンピレーションアルバム「Control the Streets, Vol. 2」に収録されていた曲で、レーベルメイトであるTennessee州MemphisのラッパーDuke Deuceが客演として参加。Project Patを思わせる主役のフロウが印象的だが、ダークな空気を一層気味悪くするDuke Deuceの存在感にも痺れる。

週刊新譜る10 [2019年10月30日~11月6日分] まとめ

今週はベテランシンガー/ラッパーによる、若手とは一線を画す完成度の高い楽曲を多めに選出した。中でも未だにギラ付いたイケイケ感を漂わせながら、ソウルフルな歌声を聴かせるJagged Edgeが素晴らしかった。先日リリースされたばかりのGang Starrの新譜といい、シーンの行方が怪しくなってくるタイミングでしっかりと正統派なベテランたちがお手本を示してくれる・・革命と伝統が同時にひしめき合うUSシーンの面白さを再確認した週だった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。