「Gang Starr – Bad Name」他、週刊新譜る10(2019/11/6~11/13)

「Gang Starr – Bad Name」他、週刊新譜る10(2019/11/6~11/13)
 

週刊新譜る10 [2019年11月6日~13日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年11月6日から13日の間にリリースされたものから選出。

Gang Starr – Bad Name


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルOne Of The Best Yet [2019年11月1日リリース]
元ネタ”Edo G – Sayin’ Somethin'[200年]” ※擦りネタ

16年振りにリリースされたアルバム「One Of The Best Yet」で、既に一定年齢以上のHipHopファンを感動の渦に巻き込んでいるGang Starr。本曲は、このアルバムから“Family and Loyalty feat. J.Cole”に続く2曲目のミュージックビデオ。Guruの息子Keith君(「One Of The Best Yet」のインタールードにも登場)に、亡き父の代わりを演じさせるという内容がまた涙を誘う。が、今回は元NFL選手でコメディアンのAnthony Adamsも出演し、全体的に悲観さは無い。曲の良し悪しについては言うまでも無いだろう。

尚「One Of The Best Yet」は12月6日にアナログが、同18日に国内盤のリリースが予定されている。筆者を含めGang Starr作品はフィジカルで入手したいファンが多いはず。輸入盤で満足出来ない方はあと1ヶ月の辛抱だ。





Maino – Motivation feat. Lyrivelli





Maino – Motivation feat. Lyrivelli


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルOn Everything I Love [2019年8月31日リリース]
元ネタ ”The Isley Brothers – Ballad for the Fallen Soldier [1983年]”

New YorkはBrooklynのラッパー、Mainoの新作ミュージックビデオ。2019年8月にリリースされたミックステープ「On Everything I Love」に収録されていた曲で、近年ではDJ Khaledも使った定番ネタ“The Isley Brothers – Ballad for the Fallen Soldier”がサンプリングされている。ソウルフルなビートに乗る主役のラップは完全に円熟の域、同じくNew York のラッパー/シンガーのLyrivelliが繰り出すイナタい歌声も素晴らしい。

Styles P – Brand New


ビデオ公開日2019年11月11日
収録タイトルPresence [2019年11月15日リリース]
元ネタ

New York州Yonkersのラッパーで、ラップグループThe Loxの一員としても知られるStyles Pの新作ミュージックビデオ。New Jerseyのプロデューサーで、The Loxの各ソロから50Cent、VadoなどNY勢を中心に手掛けるSupa Stylezによる、しっとりとしたサンプル使いが印象的。それを乗りこなすStyles Pのラップも安定感抜群。ビデオでは近所のコンビニに行くようなHood着で登場するが、そこがまた良い。

Kanye West – Follow God


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルJesus Is King [2019年10月25日]
元ネタ”Whole Truth – Can You Lose by Following God [1969年]”

元ネタリリース年参照(74年説もあったため): https://www.complex.com/music/2019/11/kanye-west-follow-god-video

Illinois州Chicagoのラッパー/プロデューサー、Kanye Westの新作ミュージックビデオ。映像では実父と共演しているが、リリック自体も、Kanyeの振る舞いに対し「キリスト教的でない」と父が指摘する様子が描かれている。礼拝の開催や教会の設立に向けた動きなど、ここ最近キリスト教に傾倒している彼。本曲で綴ったキリスト教徒らしく生きることの難しさを解消し、新しい信仰の形を広めていきたい考えがあるようだ。・・とこの辺りは日本人的にはあまりピンと来ない話だが、その点を除いても現行シーンのノリとフロウを上手く取り入れたサウンドはさすがの仕上がり。

Vado – Sage feat. AZ


ビデオ公開日2019年11月6日
収録タイトルLong Run Vol. 1 [2019年10月11日リリース]
元ネタ

New YorkはHarlemのラッパー、Vadoの新作ミュージックビデオ。同市BrooklynのラッパーAZを客演に招いた曲。同じくBrooklynのプロデューサーGP Beat Bangerzがビートを手掛け、2000年前後のNYシーンを彷彿とさせるようなサウンドが楽しめる。

Tory Lanez & T-Pain – Jerry Sprunger


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルChixtape 5 [2019年11月15日リリース]
元ネタ”T-Pain – I’m Sprung [2005年]”

カナダ出身のシンガー/ラッパー、Tory Lanezの新作ミュージックビデオ。Florida州Tallahassee出身のシンガーT-Painのデビュー曲“I’m Sprung”がサンプリングされ、本人を客演に招いた曲。元ネタのキャッチーさはそのままに、現代的な音使いが追加されより洗練されたサウンドに。

Sheff G – Feel Ah Way


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルThe Unluccy Luccy Kid‘s [2019年9月27日リリース]
元ネタ

New YorkはBrooklynのラッパー、Sheff Gの新作ミュージックビデオ。決して器用とは言えないが、どっしりとした声で繰り出されるラップは独特な味わいがある。ビートを手掛けるのは“Uncle Murda – Rap Up 2018”などのプロデュースで知られるGreat John。憂鬱でイナタいサウンドが癖になる。

Krimelife Ca$$, ABG Neal,  Sheff G & Sleepy Hallow – Forrest Gump


ビデオ公開日2019年11月13日
収録タイトル
元ネタ

Sheff Gが参加した曲を続けて。同郷のラッパー、Krimelife Ca$$の新作ミュージックビデオ。元はABG Nealのみを客演に招いた曲だったが、本曲はそこへSheff GとSleepy Hallowが加わったRemixバージョン。不穏な空気の中、ローカルでさやぐれたフロウを聴かせる4人のマイクリレーに痺れる。彼らは全員Brooklynのラッパー。強者ひしめくこの地で、着実に頭角を現してきている新たな世代にも注目しておきたい。

Philthy Rich – My Life feat. OMB Peezy


ビデオ公開日2019年11月8日
収録タイトルBig 59 [2019年9月27日リリース]
元ネタ

California州Oaklandのラッパー、Philthy Richの新作ミュージックビデオ。同州Sacramentoの若手注目株OMB Peezyを客演に招いた曲。フレッシュで勢いのあるPeezyが散々存在感を放った後、落ち着いた語り口で主役が登場。ベテランらしい風格で〆る流れはニクい。

Eric Bellinger – Delicious AF


ビデオ公開日2019年11月10日
収録タイトルSaved by the Bellinger [2019年9月27日リリース]
元ネタ

California州Los Angelesのシンガー、Eric Bellingerの新作ミュージックビデオ。ダンスホール寄り~伸びやかなパートまで自在に歌うスムースな曲。マリンバ(シロフォン?)のキャッチーな上モノも印象的で、時期外れなカリブ海的サウンドは返って強烈な印象を与える。

週刊新譜る10 [2019年11月6日~13日分] まとめ

今週はNew York勢に良曲が多くそれらを中心に選出した。変わらぬスタイルを貫くGang Starr、定番ネタを使ったMaino、 Sheff GやKrimelife Ca$$らTrap~Drill世代の若手と、世代や楽曲のタイプも様々。南部熱が収まりつつある今、NYシーンはまた面白い時期を迎えている。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。