「Rod Wave – The Last Sad Song」他、週刊新譜る10(2020/4/15~4/22)

「Rod Wave – The Last Sad Song」他、週刊新譜る10(2020/4/15~4/22)
 

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜・新作ミュージックビデオの中から”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選し、ランキング形式で紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年4月15日から22日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース80曲の中から選出。

10位 Tee Grizzley – Robbery


ビデオ公開日2020年4月17日
収録タイトル
元ネタ

Michigan州Detroitのラッパー、Tee Grizzleyの新作ミュージックビデオ。強盗に遭った後、奪われた物を取り返すために犯人探しから犯人宅襲撃までの様子を描いたリリックがとにかく素晴らしい。ビデオもリリック通りに展開するため、より一層楽しめる。

9位 Fredo Bang – Traffic


ビデオ公開日2020年4月17日
収録タイトルMost Hated [2020年4月17日リリース]
元ネタ

Louisiana州Baton Rougeのラッパー、Fredo Bangの新作ミュージックビデオ。成功した身でありながら、ストリートらしい精神やハードな面を持ち合わせる姿勢を語る。メロディアスなフロウこそ心地良いが、決して甘い内容では無い。しっとりとしたサウンドとのミスマッチさが格好良い。

8位 Larry June & Cardo – Organic Tokens


ビデオ公開日2020年4月20日
収録タイトル
元ネタ

California州San Franciscoのラッパー、Larry Juneの新作ミュージックビデオ。ビートを手掛けるのはWiz KhalifaやJuice WRLDのプロデュースで知られるMinnesota州St. PaulのCardo(Cardo Got Wings)。下手ウマさが絶妙なフロウ、ベイエリアのプロデューサーかと思うような如何にもそれっぽいビート、とまるで90年代のローカルなベイ作品を聴いているかのような錯覚に陥る。

7位 Alicia Keys – If I Ain’t Got You (Kanye West Radio Mix #1)


ビデオ公開日2020年月日
収録タイトルThe Diary of Alicia Keys (※特別盤のボートラ)[2003年12月2日リリース]
元ネタ

New York市Manhattan出身のシンガーAlicia Keysによる特大ヒット曲“If I Ain’t Got You”の公式リミックス。手掛けたのはKanye West。本リミックスは当時シングルでもリリースされており、日本・オーストラリアなどでリリースされた「The Diary of Alicia Keys」の特別盤にも収録されていた。Spotifyなどのサブスクでも既に聴くことは出来たが、今週彼女の公式YouTubeに初めてアップされていたものなので選出。Kanyeが得意とした“早回しサンプリング”を、本曲のオリジナルバージョンで行うという発想に驚く。主役の歌は若干歌詞やメロが変更されているものの、原曲の良さとKanyeの持ち味が見事に合わさった好リミックス。

6位 Phresher – Big Dawg feat. Casanova


ビデオ公開日2020年4月22日
収録タイトル
元ネタ

New York市Brooklynのラッパーで、Phresherの新作ミュージックビデオ。地元からCasanovaを客演に招いた曲。血管がブチ切れそうな程激しい両者のラップが痛快で、特に主役はDMXそっくり。この爆発力、凄まじい。

5位 Anuel AA, Rvssian & Juice WRLD – No Me Ame


ビデオ公開日2020年4月16日
収録タイトル
元ネタ

プエルトリコ出身のラッパー、Anuel AAの新作ミュージックビデオ。2019年にオーバードーズによりこの世を去ったJuice WRLDを客演に招いた曲。楽曲を手掛けたのは、” Juice WRLD – Ring Ring feat. Clever“のプロデュースでも知られるジャマイカ出身のRvssian。Trapにほんのりとカリブ海っぽさが漂うサウンドが味わい深い。ビデオでは亡きJuice WRLDを追悼するようなシーンがいくつも見られるが、中でも最後のランタンを飛ばすシーンは胸を打たれる。

4位 Missy Elliott – Cool Off


ビデオ公開日2020年4月21日
収録タイトルICONOLOGY [2019年8月23日リリース]
元ネタ

Virginia州Portsmouth出身のベテラン、Missy Elliottの新作ミュージックビデオ。彼女の場合個性的で踊れるサウンドというのはこちらも想定内だが、Planet Rock風というかあの辺りのオールドスクールっぽさまで感じさせる本曲は期待以上に楽しい。オリジナルのスタイルで勝負するという本来のHipHopらしい価値観を持っているのは、やはりこの世代か。

3位 DaBaby – Nasty feat. Megan Thee Stallion & Ashanti


ビデオ公開日2020年4月16日
収録タイトルBlame It On Baby [2020年4月17日リリース]
元ネタ“Ashanti – Baby [2002年]”

North Carolina州Charlotteのラッパー、Da Babyの新曲ビデオ。Ashantiをサンプリングしたのかと思いきや本人があの印象的なフレーズと共に登場する嬉しい曲。リリックもなかなか強烈で、男が留守の間にその彼女をいただくDa Baby、お楽しみの様子を詳細に語るMegan、更に別の(?)女役で登場するAshantiと曲名通り。「Ashantiに自分の名前呼ばせたかっただけじゃねーか」とつっこみたくもなるが、主役世代と絡むAshantiというのは新鮮でもあるし、The Inc.を離れた前作「Braveheart (2014年)」からの流れも感じられる。

2位 Lil Duval – High feat. Devin the Dude


ビデオ公開日2020年4月18日
収録タイトル
元ネタ

Florida州Jacksonville出身の歌えるコメディアン、Lil Duvalの新曲ビデオ。“G”方面のファンにはお馴染みのDevin the Dudeを客演に招いた曲。コッテリとしたソウル風味を効かせつつも甘い主役の歌声、早口ながら抜群のユルさを醸しだすDevinと、この気持ち良さは極上。まさに空までスーっと行ってしまいそうな浮遊感を味わえる。

1位 Rod Wave – The Last Sad Song


ビデオ公開日2020年4月20日
収録タイトル
元ネタ

Florida州St. Petersburgの若手ラッパー、Rod Waveの新作ミュージックビデオ。家族を亡くし深く傷付いていたことや家を追い出された過去などを明かし、どん底から自身を奮い立たせ這い上がってきた道のりが語られている。それ故の「The Last Sad Song」。ではあるのだが、アウトロでは静かにこれを否定する。ブルージーなサウンドと相まって、聴き終えた際には思わずため息が出てしまうほど。愛しさと、切なさと、心強さがぎゅっと詰め込まれたこの曲を今週の1位としたい。

週刊新譜る10 [2020年4月15日~22日分] まとめ

今週Simple 10がチェックした主要なリリースは80曲。ゴリゴリのサウンドは少なく、スムース・キャッチーな曲が多かったように思う。そんな中でも、ずば抜けて哀愁を漂わせていた ”Rod Wave – The Last Sad Song”。世の中が大変な事態を迎えている今こそ、こういった楽曲は有り難い。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。