最新HipHop/R&B 10選「Cam’ron – Medellin」他(2020/5/6~5/13)

最新HipHop/R&B 10選「Cam’ron – Medellin」他(2020/5/6~5/13)
 

週刊新譜る10 [2020年5月6日~13日分]

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜・新作ミュージックビデオの中から”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選し、ランキング形式で紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年5月6日から13日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース78曲の中から選出。

10位 Lil Tjay, Sheff G & Sleepy Hallow – Wet Em Up Pt. 2


ビデオ公開日2020年5月8日
収録タイトルState Of Emergency [2020年5月8日リリース]
元ネタ

New York市Bronxのラッパー、Lil Tjayの新曲。彼の新作アルバム「State Of Emergency」に収録されたもので、同市BrooklynからSheff GとSleepy Hallowが客演に招かれている。ビートは今回の客演陣の楽曲を多数手掛けてきたGreatJohnということで、完全に主役の方がアウェーな印象。Brooklyn DrillなLil Tjay、というのは新鮮だ。

9位 India.Arie – Welcome Home (Crazy / Sacred Space)


ビデオ公開日2020年5月12日
収録タイトルWorthy [2019年2月15日リリース]
元ネタ

Colorado州Denverのシンガー、India.Arieの新作ミュージックビデオ。「Welcome Home」と名付けられたこのビデオは、アルバム「Worthy」に収録されていた“Crazy”と“Sacred Space”という2曲をまとめたもの。どちらもしっとりとしたサウンドが味わい深く、大切な人と聴けば絆が深まりそうな曲。

8位 Vado – Politics feat. Dave East


ビデオ公開日2020年5月12日
収録タイトルLong Run Vol.1 [2019月10月11日リリース]
元ネタ“The Stylistics – Hurry Up This Way Again [1980年]”

New York市Harlemのラッパー、Vadoの新作ミュージックビデオ。地元からDave Eastを客演に招いた曲。如何にも「Stylisticsをサンプリングしたビートだなぁ」という感じのサウンドと、そこに乗る両者の手慣れたフロウが良い。

7位 Boosie Badazz – Live It Your Way feat. Laydee V


ビデオ公開日2020年5月10日
収録タイトルGoat Talk 2 [2020年4月10日リリース]
元ネタ

Louisiana州Baton Rougeのラッパー、Boosie Badazzの新作ミュージックビデオ。斬新なビートと、客演に招かれたLaydee Vなる女性シンガーのソウルフルな歌声が強烈。Boosieはこれまでもラップ、ビート選びのセンス、ローカルアーティストとの共演など、どれを取っても本当に独自性を感じさせる存在だったが、本曲にはそんな彼の魅力がぎゅっと詰まっている。ありがちなシーンではあるが、美女達とプールサイドで戯れるビデオも楽しい。

6位 Styles P – Time


ビデオ公開日2020年5月7日
収録タイトル Styles David: Ghost Your Enthusiasm [リリース予定日不明]
元ネタ

New York州Yonkersのラッパー、Styles Pの新作ミュージックビデオ。Jadakiss、Sheek Louchと共にThe Loxのメンバーとしても知られるこの男。ソウルフルなサンプルがスムースなビートに合わせ、今回もさすがの安定感で聴かせる。

5位 DJ Muggs – What A Night feat. Evidence & Eto


ビデオ公開日2020年5月8日
収録タイトル
元ネタ

Calofornia州Los AngelesベテラングループCypress HillのDJ/プロデューサー、DJ Muggsの新曲ビデオ。地元のラップグループDilated Peoplesの一員としても知られるEvidenceと、New York州RochesterからEtoを招いた曲。Muggs主導の相変わらずドロドロとした不穏なサウンドは、今回も中毒性が高い。その上例えばGriselda周辺などが人気の今彼のサウンドを聴くと、まるで最先端のサウンドのようにも聴こえてくるから一層楽しめる。

4位 Yella Beezy & Trapboy Freddy – Raccs


ビデオ公開日2020年5月8日
収録タイトルI’m My Brother’s Keeper [2020年5月8日リリース]
元ネタ

Texas州Dallasのラッパー、Yella BeezyとTrapboy Freddyの新作ミュージックビデオ。両者のコラボアルバム「I’m My Brother’s Keeper」の1曲目に収録された曲で、上モノのオルガンが如何にもTexasっぽく、ブルージーでイナタいサウンドがたまらない。この二人と言えば“K.Breezy – Pop That (Dallas Remix) ”にも招かれたばかりだが、Dallasの若手の中ではやはり別格の存在と言える。

3位 Apollo Brown & Che`Noir – Hustle Don’t Give feat. Black Thought


ビデオ公開日2020年5月13日
収録タイトルAs God Intended [リリース予定日不明]
元ネタ

Michigan州DetroitのプロデューサーApollo Brownと、New York州Buffaloの女性ラッパーChe`Noirによる新曲。両者のコラボアルバム「As God Intended」に収録予定の曲で、HipHopバンドThe RootsのラッパーBlack Thoughtを客演に招いた曲。Apollo Brownらしい原点回帰的なサウンドは、コアなHipHopファンにはたまらないはず。MC二人も燻し銀なラップを聴かせるが、特にChe`Noirの淡々とキレのあるフロウを繰り出す様子が痛快。「辛くとも傷を負っても、諦めることは難しい」、そんな思いを綴ったコーラス部分では聴いているこちらも思わず力が入ってしまう。

2位 Young Dolph – Sunshine


ビデオ公開日2020年5月12日
収録タイトル
元ネタ

Tennessee州Memphisのラッパー、Young Dolphの新作ミュージックビデオ。「Sunshine」というタイトルから明るくスムースな曲なのかと思いきや、サウンドは予想外にダーク。リリックでは、新型コロナにより自宅で過ごしている様子やこれまで家族と過ごす時間が無かったことの謝罪、この状況を楽しんではいるものの「早くこの曇り空が晴れて欲しい」という思いが語られている。またトランプ大統領に対するネガティブな感情や、医療従事者への祈りも綴られており、「今本当に必要なことをラップした」ような印象を受ける。実生活や世の中の状況をリアルタイムに楽曲に落とし込む、これぞHipHopだろう。

1位 Cam’ron – Medellin


ビデオ公開日2020年5月13日
収録タイトルPurple Haze 2 [2019年12月20日リリース]
元ネタ

New York市Harlemのラッパー、Cam’ronの新作ミュージックビデオ。あのPurple Hazeの続編としてリリースされた7作目のアルバム「Purple Haze 2」に収録された曲。タイトルの「Medellin」は南米コロンビアの都市名で、本ビデオも同市が舞台となっている。この街で創立された巨大麻薬カルテル「Medellín Cartel」の創立者Pablo Escobarの兄であり、組織の元会計士とされるRoberto Escobar氏の元を訪ねるというとんでもない映像だ。途中Roberto氏からアドバイスを受ける場面も見られ、Camの”本物感”を印象付けることにも成功しているし(アドバイスの具体的な内容はカットされているものの、Cam曰く合法的なビジネスや物事の進め方などを教わったそうだ)、USラッパー達が扱うトピックの生々しさ・ノンフィクションさも感じ取ることが出来る。肝心の楽曲も現行サウンドを取り入れ、しっかりとトレンドに順応。リリックも直接的ではないが前述のカルテルに共通するような精神面が語られている。

Cam’ronのインタビュー参照: complex.com

週刊新譜る10 [2020年5月6日~13日分] まとめ

今週Simple 10がチェックしたリリースは78曲。MigosやKehlaniなど、現行シーンを象徴するようなアーティストの新作ミュージックビデオも公開されていたが、それ以上にパンチのある楽曲を選出した。ギャングスタさに一層説得力を増したCam’ron、目の前の状況をラップした真実味のあるYoung Dolph、HipHop本来のサウンドを体現したApollo Brown & Che`Noirと、上位3曲は特に素晴らしかった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。