~各地で進化を続けるTrapに夢中になった1年~Playlist:「The Best of 2016」
- 2017.01.08
- PLAYLISTS
※こちらは旧サイトからの記事を2018年11月20日に再掲載しています。
Simple 10が選んだ「The Best of 2016」
2016年にリリースされた無料で入手可能な楽曲の中から、シーンの1年を振り返るプレイリストを作成。流し聴きするも良し、気に入った曲のみチェックするも良し、ご自身の端末にダウンロードしていくのも良し。お好みでご活用ください。(すぐ下のYoutube動画がすでに25曲流れるプレイリストになっています。)
今回のプレイリストの選曲基準・ルール
①2016年中にリリースされたMixtapeに収録されている曲で、かつミュージックビデオが存在する曲。(ビデオの公開年は異なる場合もあり。)
②2016年に活躍が目立ったアーティストや、同年のシーンを象徴するサウンドを可能な限り選出。
③再生数やDL数ではなく、管理人の好みで選出。
④プレイリストとしての流れも意識した曲順で作成。
※各リンクは、元サイト側による削除等あった場合はご容赦ください。
「The Best of 2016」を一曲ずつ紹介
それでは選出曲を1曲ずつ見ていこう。
- 1. Project Pat – 30 feat. Young MA, Coca Vango, Big Trill
- 2. O.T. Genasis – Weigh The Weight
- 3. 2 Chainz – Diamonds Talkin Back
- 4. Future – Screwed Up
- 5. Trae tha Truth – Slant feat. Jay’ton, Lil Boss
- 6. Kodak Black – Can I
- 7. 2 Chainz – MF’N Right
- 8. Young Buck – Back To The Old Me
- 9. Maino & Uncle Murda – WorldStar
- 10. G-Unit – Its a Stick Up feat. Lloyd Banks, Tony Yayo, Kidd Kidd & Young Buck
- 11. Snyp Life – Welcome To NY feat Styles P, Nino Man, Dave East
- 12. Belly – Trap Phone feat. Jadakiss
- 13. Troy Ave – No Delay
- 14. Chevy Woods – Gang Shit Only
- 15. Project Pat – Catching Juggs
- 16. Juicy J – Green Carpet
- 17. Tone Tone – Gold Rolex feat. Gucci Mane
- 18. 2 Chainz – Lil Baby feat. Ty Dolla $ign
- 19. Nipsey Hussle – Ocean Views
- 20. YG – I’m A Thug Pt.2
- 21. Nipsey Hussle – Question #1 feat. Snoop Dogg
- 22. Wale – Gangsta Boogie feat. Tha Dogg Pound
- 23. Cashflow Harlem – Want my Love Back feat. Cardi B
- 24. Dej Loaf – Goals
- 25. Lil Durk – Rich Forever feat. YFN Lucci
- 26. 2016年のHipHopを総括!広がりを見せるTrapブーム以降のシーン
Project Pat – 30 feat. Young MA, Coca Vango, Big Trill
ビデオ公開日 | 2016年11月15日 |
収録タイトル | Street God 4 |
元ネタ | – |
まずはTennessee州MemphisのラッパーProject Patのこの曲で、飛ばし過ぎないスタート。2016年は自身のMixtapeシリーズ”Street God”を3作リリースし、活発な動きを見せてくれた彼。”Ooouuu”で一気に注目を集めたYoung MAらを招いた、中毒性の高い一曲。
O.T. Genasis – Weigh The Weight
ビデオ公開日 | 2016年11月21日 |
収録タイトル | Coke-N-Butter |
元ネタ | – |
続いてダークな空気はそのままに、ここ2、3年ヒットが目立つ O.T. Genasis を。カナダ出身の若手プロデューサーBricksOnDaBeatの手腕が光るTrapチューン。現行シーンらしいサウンドとビデオは、迷う余地無く今回のプレイリストに選出。
2 Chainz – Diamonds Talkin Back
ビデオ公開日 | 2016年11月16日 |
収録タイトル | Hibachi For Lunch |
元ネタ | – |
こちらも昨年露出の多かった、Georgia州College Park出身のラッパー2 Chainz。そろそろ温まってきた3曲目にこの曲を。浮世絵風のジャケットに”火鉢”というタイトル、日本人なら取り敢えず反応してしまうであろうMixtape”Hibachi For Lunch”からの一曲。
Future – Screwed Up
ビデオ公開日 | 2013年4月14日 |
収録タイトル | Wicked |
元ネタ | – |
Georgia繋がりで、Atlantaから Futureのこの曲を。とは言え恐らく正式にはTrae Tha Truth によるFutuerを招いた曲で、2013年にはビデオが公開されているもの。(本プレイリストは収録Mixtapeを基準にしているので、そちらでのクレジット通りに表記。)曲名やビデオからも分かる通りTreaの地元Houstonらしさ満点なのがファンには嬉しいが、 心拍数が上がってきそうな緊張感あるビートを手掛けたMike Will Made Itもお見事。
Trae tha Truth – Slant feat. Jay’ton, Lil Boss
ビデオ公開日 | 2016年7月18日 |
収録タイトル | Another 48 Hours |
元ネタ | – |
そのままTrae tha Truthの曲を続けて。前曲で上がった心拍数をHouston産らしいユルさでクールダウン。しかし気だるさに包まれながらも、不穏さは持続。
Kodak Black – Can I
ビデオ公開日 | 2016年9月28日 |
収録タイトル | Lil Big Pac |
元ネタ | – |
2016年に人気急上昇したラッパーの一人、 Florida州Pompano Beach出身のKodak Black。二度逮捕される等、色々な意味で注目された一年だった彼。ユルくイナタイでサウンドで、前半からの流れに一息。
2 Chainz – MF’N Right
ビデオ公開日 | 2016年6月24日 |
収録タイトル | Felt Like Cappin |
元ネタ | Young Dolph – Preach |
ここからは、再び2 Chainzで現行サウンド真っ只中へ。AtlantaのTrapシーンを語る上では欠かせないプロデューサーMike Will Made ItとZaytovenが手掛け、Lil Wayneまで加わった豪華な一曲。「Preach」のあの印象的な笛のような上ネタが使われているため元ネタとして記載しているが、原曲もZaytovenプロデュースであるため、サンプリングではなく弾き直しや流用の可能性もあり。
Young Buck – Back To The Old Me
ビデオ公開日 | 2016年7月11日 |
収録タイトル | 10 Bodies |
元ネタ | – |
Tennessee州Nashville出身、G-Unitの一員でお馴染みのYoung Buck。決して器用とは言えない荒々しいフロウは、マイナーなギャングスタラップ諸作品にも通じるローカル臭さを感じさせる。南部産ヒップホップは”ダーティサウス”と呼ばれて久しいが、まさにこの曲こそが”ダーティサウス”だ。
Maino & Uncle Murda – WorldStar
ビデオ公開日 | 2016年7月2日 |
収録タイトル | Yellow Tape King Kong & Godzilla |
元ネタ | Tavares – Out Of The Picture |
続いてNYはBrooklynから、MainoとUncle Murdaによるコラボ。「50Cent – Many Men」と同じネタを使ったこの曲で、一度流れを東へ。DJ Boy Wondaが手掛け完全にNY勢で固めている曲なだけに、BPMやビートは現行のTrapらしいものの、本家アトランタのそれとは明らかに異なるサウンドが興味深い。
G-Unit – Its a Stick Up feat. Lloyd Banks, Tony Yayo, Kidd Kidd & Young Buck
ビデオ公開日 | 2016年8月30日 |
収録タイトル | The Lost Flash Drive |
元ネタ | – |
Young Buck、50 Centの同ネタと続いたところでG-Unitを。まだまだアトランタ系のサウンドが根強い現行シーンではあるが、昨年はNY勢を中心に”脱Trapサウンド”の流れも少しずつ見られるようになってきた。となると、こういったベテラン勢による動きも活発になってくるはずだ。
Snyp Life – Welcome To NY feat Styles P, Nino Man, Dave East
ビデオ公開日 | 2015年9月29日 |
収録タイトル | Best Of Bookie Barz |
元ネタ | – |
NYのもう一つのベテランクルーD-Blockから、Snyp Life(ミュージックビデオは Styles P 名義だが)のこの曲で、より一層NYらしいサウンドへ。相変わらずコアなNYスタイルを貫いているD-Block近辺だが、昨年はThe LoxがJay-ZのレーベルRoc Nationと契約し新作アルバムをリリースしたばかり。2017年も活発な動きに期待したい。
Belly – Trap Phone feat. Jadakiss
ビデオ公開日 | 2016年12月14日 |
収録タイトル | Inzombia |
元ネタ | – |
その The Lox の一員 Jadakiss を客演に招いたBelly。古びたオルゴールのような何とも言えない哀愁が漂うが、パレスチナ生まれ/カナダ育ちと言うUSラッパーとは異なるバックボーンがサウンド面に現れているようにも思える。彼もまた2015年にRoc Naitonと契約しているが、Juicy JからJadakissまで共演する一方でThe Weekndのソングライィングを手掛けるなど、やはり独特な立ち位置を築いていきそうだ。
Troy Ave – No Delay
ビデオ公開日 | 2016年12月26日 |
収録タイトル | White Christmas 4 |
元ネタ | – |
さて、NY勢が続いた流れの最後はBrooklynのラッパーTroy Ave。2016年5月にはT.I.のライブ会場で起こった発砲事件に関与した疑いで逮捕され、その際自身も被弾。 その後保釈中の身であったが、12月25日に再び何者かに撃たれ病院へと搬送。悪いニュースが続いているものの、音楽面では3作のMixtapeをリリースするなど、役者揃いのBrooklyn勢の中ではかなり存在感を放った一年だった。
Chevy Woods – Gang Shit Only
ビデオ公開日 | 2016年12月22日 |
収録タイトル | Gang Shit Only |
元ネタ | – |
ここから再び現行サウンドらしい流れに。Pennsylvania州Pittsburghのラッパーで、同郷のWiz Khalifa率いるTaylor GangのメンバーでもあるChevy Woods。地味ながらもハードさと流行を抑えたバランスのいい良曲。
Project Pat – Catching Juggs
ビデオ公開日 | 2016年4月29日 |
収録タイトル | Street God 2 |
元ネタ | – |
ここでもう一度Project Pat。ドロっとしたダークさと、リッチでリゾート風なビデオはマフ○アのボスキャラ的なカッコ良さ。今やシーンを引率するプロデューサー軍団となった808Mafiaから、TM88が手掛けたサウンドも熟練の域。
Juicy J – Green Carpet
ビデオ公開日 | 2016年9月20日 |
収録タイトル | Lit In Ceylon |
元ネタ | – |
Project Patの弟であるJuicy Jを続けて。この曲もTM88が手掛けており、メンフィスらしいダークな南部感とアトランタ産Trapとの好相性ぶりが伺える。Juicy Jも多数のミュージックビデオを公開し、露出の多い一年だった。
Tone Tone – Gold Rolex feat. Gucci Mane
ビデオ公開日 | 2016年5月12日 |
収録タイトル | 11627 Gangsta Grillz |
元ネタ | – |
808Mafiaが手掛けた曲を更に続けて。こちらは同軍団からDYが手掛けた、DetroitのラッパーTone Toneの曲。昨年ようやくお務めを終え本格的な活動を再開したGucci Maneも参加しているため、アトランタのラッパーかと思うようなサウンド。主役の特徴的な声は存在感抜群だ。
2 Chainz – Lil Baby feat. Ty Dolla $ign
ビデオ公開日 | 2016年11月29日 |
収録タイトル | Hibachi For Lunch |
元ネタ | – |
本プレイリストでは三度目の登場となる2 Chainz。哀愁たっぷりなこの曲で、Trapが続いた流れに一区切りTy Dolla $ignのhookが沁みる。
Nipsey Hussle – Ocean Views
ビデオ公開日 | 2016年10月3日 |
収録タイトル | Slauson Boy 2 |
元ネタ | – |
南/東だけではなく、西海岸勢もしっかりと選出。前曲の余韻を残しながら、Los AngelesはCrenshawのラッパーNipsey Hussleで、西へ流れを展開。808系ドラムサウンドで溢れる現状だからこそ、こういった生音系ドラムのビートは新鮮さがある。
YG – I’m A Thug Pt.2
ビデオ公開日 | 2016年11月25日 |
収録タイトル | Red Friday(現在フリーのMixtapeとしては削除されています。) |
元ネタ | – |
現在もっとも西海岸らしいサウンドを聴かせるCompton出身のラッパー、YG。2016年にリリースした二作目となるアルバム”Still Brazy”は前作程のヒットとはいかなかったが、メジャーにおいて西海岸サウンドを貫く姿勢は貴重な存在だ。東、南、西、それぞれサウンドに特徴があるUSシーンはやはり面白い。
Nipsey Hussle – Question #1 feat. Snoop Dogg
ビデオ公開日 | 2016年7月4日 |
収録タイトル | Slauson Boy 2 |
元ネタ | – |
再びNipsey Hussle。Snoop Doggを招き、シンセベース、高音シンセリードが強烈なこちらも、文句無しの西海岸サウンド。彼らのHoodに迷い込んだような不穏な空気は、色々な意味で真っ青になりそうだ。
Wale – Gangsta Boogie feat. Tha Dogg Pound
ビデオ公開日 | 2016年8月18日 |
収録タイトル | Summer On Sunset |
元ネタ | Chicago Gangsters – Gangster Boogie |
Washington, D.C.出身のラッパーWaleのこの曲を西モノの流れで選出。正式にはTha Dogg Pound名義と思われ、「Chicago Gangsters – Gangster Boogie」のフレーズをそのまま取り入れたスムースなサウンドは、完全にDPG仕様。この辺りから終盤へ向けた流れへ。
Cashflow Harlem – Want my Love Back feat. Cardi B
ビデオ公開日 | 2016年12月22日 |
収録タイトル | Rich Thoughts Poor Habits |
元ネタ | – |
その名の通りNYはHarlemのラッパーCashflow Harlemのスムースな曲を続けて。現行サウンドらしいドラム使いではあるものの、シンガーを絡めたキャッチーな雰囲気は2000年前後に良く聴かれたサウンドを彷彿とさせる。
(※再掲にあたり2018年追記※
客演しているのはあのCardi Bで、本記事は「Bodak Yellow」以前という、日本では比較的早い段階で彼女が参加している曲を取り上げた方かと思います。この頃は彼女もMixtapeをリリースしていましたが、その内容を聴く限り、正直現在知られているような存在にまで昇り詰めるとは思っていませんでした。SNSで話題となりTV番組シリーズへの出演~メジャー契約と既に人気を獲得する下地は出来つつあったように思えますが、当時の日本でそういった動きも含め彼女を追っているメディアはほとんど無かったでしょう。当サイトには「Simple 10注目のアーティスト」というカテゴリーがありますが、この中からも近い将来急成長を遂げるアーティストが出てくるのか楽しみです。)
Dej Loaf – Goals
ビデオ公開日 | 2016年6月15日 |
収録タイトル | All Jokes Aside |
元ネタ | – |
Michigan州Detroitの女性ラッパーDej Loaf。2014年頃人気に火が着き、客演に引っ張りだこだった2015年を経て、気付けばあっという間に中堅ラッパーの仲間入り。しっとりとしたこの曲で、プレイリストの”ゴール”へ向けクールダウン。
Lil Durk – Rich Forever feat. YFN Lucci
ビデオ公開日 | 2016年11月28日 |
収録タイトル | They Forgot |
元ネタ | – |
最後を飾るのはIllinois州Chicago出身のラッパーLil Durk。2016年は、前年にリリースしたデビューアルバム”Remember My Name”がゴールドディスクに認定され、またアルバムとMixtapeをリリースするなど順調にキャリアを築いている印象だった。この曲でしっとりと〆。
2016年のHipHopを総括!広がりを見せるTrapブーム以降のシーン
全25曲紹介してきたが、いかがだっただろうか。2016年は、アトランタから広まったTrapが全米各地により一層浸透し、様々なプロデューサーによる独自に解釈された同サウンドが広がりを見せたように思えた。一方で、一時期見られたような「アトランタ勢ばかり」といった状況も過渡期を迎えたようで、伝統的なNYサウンド、DJマスタード以降の西海岸サウンド、などTrap以外の楽曲も再び増えてきた印象があり、非常に楽しい1年だった。
今回のプレイリスト、是非活用していただきたい。
-
前の記事
~Trapが猛威を振るった1年を振り返る~ Playlist: 「The Best of 2015」 2016.01.14
-
次の記事
グラミーを受賞し益々話題のラッパー、Chance The Rapperに関する記事が掲載されています。 2017.03.06