「O.T. Genasis – Never Knew」他、週刊新譜る10(2019/12/4~12/11)

「O.T. Genasis – Never Knew」他、週刊新譜る10(2019/12/4~12/11)
 

週刊新譜る10 [2019年12月4日~11日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年12月4日から11日の間にリリースされたものから選出。

O.T. Genasis – Never Knew


ビデオ公開日2019年12月6日
収録タイトル
元ネタ“Keyshia Cole – Love [2005年]”

California州Long Beachのラッパー、O.T. Genasisの新作ミュージックビデオ。まさかの“Keyshia Cole – Love“を、Devin the Dudeどころではない下手ウマさで熱唱するとんでもない曲。その上内容は自身のCripsアピールと、もはや聴いているこちらが真っ青になりそうだが、このソウルフル(?)な歌声は妙な中毒性がある。やたら歌が上手いラッパーやオートチューンで処理するよりも好印象を覚える。

G4 Boyz – New Chanel feat. Wale


ビデオ公開日2019年12月10日
収録タイトル
元ネタ

New York市Staten Islandのラップデュオ、G4 Boyzの新作ミュージックビデオ。Washington, D.C.のラッパー、Waleを客演に招いた曲。本曲は、“Lou – No Permission[2018年]”、 “Thug Letter – Owey [2019年]”などと同じビートが使われているようで、コアな西モノギャングスタラップファンの間で一時期流行ったアレと同じ元ネタがサンプリングされているものと思われる。王道なTrapビートでありながらNY勢らしいキレキレなラップを聴かせる主役達、それに釣られたようなフロウを手慣れた様子で繰り出すWaleと、地味ながら聴き所が多い良曲。

G4 Boyz出身地参照: https://www.facebook.com/pg/G4BOYZMUSIC/about/

Fat Joe,Dre – Lord Above feat. Eminem & Mary J. Blige


ビデオ公開日2019年12月5日
収録タイトルFamily Ties [2019年12月6日リリース]
元ネタ“The Dramatics – Thank You for Your Love [1971年]”

New York市BronxのラッパーFat Joeと、Florida州MiamiのプロデューサーデュオCool&DreのDreによる新曲。先日リリースされた両者のコラボアルバム「Family Ties」に収録されたもので、EminemとMary J. Bligeという豪華な客演陣が招かれている。楽曲を手掛けたのはCool&Dreと彼らのレーベル「Epidemic Music」所属のプロデューサー808-Rayで、得意の早回しサンプリングでソウルフルに仕上がっている。ベテラン三者もさすがの安定感で聴かせるが、特筆すべきはやはりEminemか。かつての恋人Mariah Careyに触れ、その元夫であるNick Canonを巧みな言い回しで挑発。そしてそんな内容も薄まる程の長く濃いヴァースを聴かせる。

関連記事: Bronx(ブロンクス)を代表するラッパー10選

Nick Cannon – The Invitation (Eminem Diss) feat. Suge Knight, , Hitman Holla, Charlie Clips & Prince Eaz


ビデオ公開日2019年12月9日
収録タイトル
元ネタ

California州San Diego出身のラッパー、Nick Cannonの新作ミュージックビデオ。前述のEminemからの挑発を受けて、早速自身のクルーBlack Squadのメンバーを引き連れて反撃した曲。獄中からはかつてEminemと揉めたSuge Knightからメッセージまで受け取り、かなりピリピリとした空気が感じられる。彼らは翌日更なる追撃として“Pray for Him”を公開し、完全に戦闘態勢。Eminem側のアンサーは、50centらも含めSNSでの反応に留まっているが、唯一Obie Triceのみ“Spanky Hayes”を公開し反撃中だ。
今後の展開も気になるところだが、純粋にラップやサウンドそのものに関して言えば、バトルMCの名手達からなるBlack Squadだけにやはりこの手の楽曲は映える。

Tinashe – Save Room for Us (Tokyo Visual)


ビデオ公開日2019年12月9日
収録タイトルSongs for You [2019年11月21日リリース]
元ネタ

先週選出した”SiR – Mood feat. Zacari”に続き日本関連の作品を。California州Los Angelesのシンガー、Tinasheの新作ミュージックビデオ。7月の来日時と思われるが、タイトル通り東京で撮影されたもの。渋谷の街中やJR構内/電車内でゲリラ的に撮影したように見受けられ、良い意味でチープさもあり楽しめる。

Cam’ron – Big Deal


ビデオ公開日2019年12月10日
収録タイトルPurple Haze 2 [2019年12月20日リリース予定]
元ネタ

New York市Harlemのラッパー、Cam’ronの新曲。2004年にリリースされたアルバム「Purple Haze」の続編となる「Purple Haze 2」に収録される予定のもので、当時から彼やその身内を手掛けるThe Heatmakerzがプロデュース。続編に相応しく“らしい”早回しサウンドがたまらない。

CJ Fly – City We From feat. Conway The Machine


ビデオ公開日2019年12月6日
収録タイトル
元ネタ

New York市Brooklynのラッパーで、同地の大所帯クルーPro Eraのメンバーとしても知られるCJ Flyの新曲。プロデュースはMassachusetts州Lawrence出身のStatik Selektah。客演にはNew York州BuffaloからConway The Machineと、聴かずともサウンドの予想が付くような布陣。その予想/期待は裏切られることは無く、ジャジーで渋い原点回帰的なサウンドが堪能出来る。

Jay Critch – Dreams In A Wraith


ビデオ公開日2019年12月10日
収録タイトル
元ネタ

New York市Brooklynのラッパー、Jay Critchの新作ミュージックビデオ。南部勢かと思うようなTrapを聴かせるが、切れのあるフロウはやはりこの地のラッパーらしい。派手なルックスに反して、どこか垢抜けないサウンドも良い。

Jeezy – Don’t Make Me


ビデオ公開日2019年12月5日
収録タイトルTM104: The Legend of the Snowman [2019年8月23日リリース]
元ネタ

Georgia州Atlantaのラッパー、Jeezyの新作ミュージックビデオ。哀愁漂うビートとベテランらしい風格を纏ったフロウの組み合わせに痺れる。潰し過ぎな音質は気になるものの、それはそれで味があるように感じられる。本曲が収録されたアルバム「TM104: The Legend of the Snowman」は、メジャーデビュー時から契約中のDef Jamからは最後のリリースとなる。

Def Jamからのリリース最終作参照: https://hiphopdx.com/news/id.51988/title.jeezy-drops-1st-single-off-his-final-album-tm104

Clever – Wooden Box


ビデオ公開日2019年12月6日
収録タイトルWho is Clever? [2019年10月11日リリース]
元ネタ

Alabama州Gadsdenのラッパー/シンガー、Cleverの新作ミュージックビデオ。警官による不当な暴力や銃撃について訴えた曲で、荒削りで感情的な歌声がより説得力を感じさせる。人種的マイノリティでは無く、白人である彼がこういった曲をリリースしたことは重要な動きと言えるだろう。

関連記事: Clever ~バトルMCから大きな変貌を遂げたアーティスト~

週刊新譜る10 [2019年12月4日~11日分] まとめ

今週は EminemによるNick Cannonへのディス、それに対するNick側の素早いアンサーを出す展開に興味をそそられたが、それ以上に強烈な印象を受けたのはやはりO.T. Genasis。 どこまで本気なのか(少なくともビデオの中では真剣だが)疑問ではあるが、Cripsへの”Love”を感じるあの熱唱振りは聴き応えがあった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。