Nate Doggの息子Nhaleは父親を超えるか

Nate Doggの息子Nhaleは父親を超えるか
 

Dr.Dre、Snoop Dogg、2Pacらと共にかつて一大帝国を築いたレーベルDeath Rowに所属し、ギャングスタ感とスムースさを併せ持つ独特な歌声や、”キングオブフック”“客演王”と呼ばれる程に各地のラッパーからその“声”を求められた実績から、今尚愛され続けるシンガーNate Dogg。2011年多発性脳卒中の合併症により41歳という若さでこの世を去り、多くのHipHopファンが“ネイト・ロス”状態に陥った。いや、未だ陥っている。

あれから9年。Nate Doggの息子Nhale(Niajel Hale)が、音楽面で動きを見せ始めた。Nate Doggの息子と言えばLil Nate Doggの名で既に活動をしている兄の存在もあるのだが、今回は弟のNhaleについて、まだ数少ない音源を追いながら、父を超える程の存在になりうるのか分析していきたい。

父親に似つつも、オリジナリティのあるスタイル




本記事執筆時の時点で公開されているミュージックビデオは、“Dolla Bill ”と“Don’t Know Why”という曲のみ。どちらも予想外に時代を無視した、DPG、2001系サウンドで嬉しい。彼の特徴としては、”シング“ではなく明らかに”ラップ“と言えるヴァースをこなせる点で、これは父には無い、また昨今のシーンにも合ったスタイルと言える。そのラップもShade Sheistを思わせるような涼しさがある。
“シング”の部分を聴くとさすがに「Nate Dogg程ではないな」という物足りなさを覚えるが、これはどちらかというとソングライティングの問題で、声質自体は期待以上にNate Dogg似だ。



その証拠に “Don’t Cost(現在唯一のリリースと思われるEP「Young OG」に収録)”のコーラス部分のように、ひねりの無いメロディーラインであれば、Nateの未発表曲か?と思う程そっくり。つまり今後レーベル契約などを経て優秀なソングライターが付けばNate Dogg+Shade Sheistという“一人Where I Wanna Be”なアーティストに化ける可能性は十分ある。勿論そういったNate Doggのコピー化を本人が望んでいるとは限らないが。

Nhaleの年齢は?

Nate Doggが亡くなった翌月のインタビュー記事に

Nate Dogg’s sons, Lil’ Nate, 18, and Nigel, 15, gave their first interview since their dad died last month.

引用元: hollywoodreporter

とあるので、現在の年齢は24歳か。高校を卒業後大学でフットボールをしており有望選手とも言われていたそうだが、2017年薬物の違法取引などの容疑で逮捕されている。最終的には執行猶予となっているが恐らくこの事件によりフットボール選手としての道は断たれ、色々な意味でHipHopアーティストになる準備が整ったのだろう。

逮捕、執行猶予等の情報参照: https://247sports.com/Article/Naijiel-Hale-rapper-Nate-Doggs-son-arrested-for-selling-drugs-52178990/

https://www.bozemandailychronicle.com/news/crime/former-msu-football-player-pleads-guilty-to-distributing-xanax-sentenced/article_c3f5b5f8-05a5-5285-a2a6-f129f838c33c.html

二世タレントのジンクスを打ち破れるか?

HipHop業界の枠を超え過ぎた位置にいるWill Smith、の息子Jaden Smithは別として、シーンの二世ラッパー達が(親と同等またはそれに匹敵するような)成功を収めているケースは恐らく皆無。筆者がぽっと思い浮かぶのは、せいぜいMaster Pの息子Romeo Millerと、P.Diddyの息子King Combs位だが、それでも親の功績には程遠い。そしてこの二例に共通しているのは、父親がレーベルを主宰しそこで我が子を育て上げたことだ。二世ラッパー単独での成功は極めて難しいと考えられるが、これはNhaleにも言えるだろう。
DPG近辺でサポートしてくれる者が誰かしらいそうだが、可能性があるのは前述の“Don’t Know Why”のビデオ後半にも出演しているKuruptとDaz Dillinger=Tha Dogg Poundの二人位か。

Nate Doggとは学生時代からの仲で、グループ「213」まで結成していたSnoopとWarren Gはと言うと・・・多少のサポートはあるかも知れないが、今のところ本格的に彼らが手を貸すとは考えにくい。と言うのも2018年にWarrenが手掛けたG-Funkの伝記映画の試写会時、彼らがNate Doggの家族を誰一人招待しなかったことをNhaleがインスタで暴露。更に生前のNate Doggと彼らの関係が良好ではなかったと読み取れる内容や、Kuruptだけが気にかけてくれたといった怒りの内容を投稿しており、決して頼りに出来る存在では無さそうだからだ。

ただでさえG-Funk冬の時代とも言える今、その上父親の大きすぎる功績を思うと、Nhaleが二世タレントのジンクスに飲まれる可能性は大きい。

客演王に俺はな・・・らなくていい!

例え大きな成功を収めなくとも、筆者はNhaleには今の彼のサウンドを貫いて欲しいと思う。ファンとしてはどうしてもNate Doggと比較してしまうが、形見なのかDeath Rowのチェーンを下げ、決して流行っているとは言えないG-Funkを歌うNhaleこそが、実は最も父には敵わないと感じているような気もする。寧ろ父が残した足跡をより深く歴史に刻もうと、何度も上から重ね塗りしているような、そんな風にも見えてくる。かつてインタビューで、

「最もギャングスタなことってのは家族の面倒をきっちりみるってことなんだよ。」

引用元: bmr No3.14 発行元(株)ブルース・インターアクションズ

と語っていたNate Dogg。亡き父の名誉・功績・シーンに残した遺産は、今度は息子が面倒を見てくれそうだ。Nate Doggファン、G-Funファンとして是非とも応援したい。


Nhale公式リンク
Instagram: https://www.instagram.com/nhale7/
Youtube: https://www.youtube.com/channel/UC-DDGyxhLXd7EjJ3Na4wZpQ
公式ストア: https://halebynatedogg.com/