「ESG – So Southside」他、週刊新譜る10(2019/4/17~24)

「ESG – So Southside」他、週刊新譜る10(2019/4/17~24)
 

週刊新譜る10 [2019年4月17日~24日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年4月17日から24日の間にリリースされたものから選出。

ESG – So Southside feat. Ronnetta Spencer


ビデオ公開日2019年4月22日
収録タイトルWaterworld (2019年5月中にリリース予定)
元ネタ

Texas州Houstonのベテランラッパー、ESG(E.S.G.)の新作ミュージックビデオ。同郷で、地元勢~西海岸勢まで手掛けるベテランプロデューサーSean Solo Jemison主導のコンピ「Waterworld」に収録予定の曲。故Big Moeらの作品で度々起用されていたRonnetta Spencer(あの”やたら安定感のある歌声を披露する子供シンガー”と言えばピンと来る読者もいるか)を招き、H-Town HipHopの魅力がぎっしり詰まったサウンドがたまらない!G-Funk諸楽曲にも通じるスムースさだ。



Lil Dicky – Earth 


ビデオ公開日2019年4月18日
収録タイトル
元ネタ

Pennsylvania州Cheltenham Township出身のコメディアン/ラッパーのLil Dickyとレオナルド・ディカプリオによる新作ミュージックビデオ。地球の環境問題について考える日と制定された4月22日(アースデー)にちなんで公開されたもので、Ariana Grande、Justin Bieber、Snoop DoggからLil Jonまで、総勢30名の著名なアーティストが地球上で暮らす様々な生き物に扮して歌う豪華な曲。真面目なメッセージも勿論込められているが、コメディアンらしく笑いどころもあり、テーマの割りに取っ付きにくさは皆無。一見敬遠しがちな問題には、これ位の気軽さがかえって良いのかも知れない。 尚、

今回のプロジェクトはレオナルド・ディカプリオ財団(以下LDF)と連携しており、同曲とそのミュージック・ビデオ、そしてグッズの収益の一部は気候変動対策の最前線にあるLDFの傘下団体であるNPOに寄付される事も発表されています。

引用:
https://wmg.jp/lil-dicky/news/83356/

とのこと。音楽をポジティブなツールとして活用する彼らに敬意を表したい。



Tyga – Goddamn


ビデオ公開日2019年4月23日
収録タイトル
元ネタ

California州Compton出身のラッパー、Tygaの新作ミュージックビデオ。2012年頃から彼の楽曲を手掛けるD.A. Domanがプロデュースしており、いつも通りの”らしい”サウンドが楽しめる。独特な雰囲気を醸しだすストリングス、フック後のポストコーラスなど、シンプルながら構成が練られた良曲。



YBN Almighty Jay – New Drip feat. Gucci Mane & YBN Nahmir


ビデオ公開日2019年4月22日
収録タイトルYBN: The Mixtape (2019年9月7日リリース)
元ネタ

Texas州Galveston Countyのラッパーで、若手アーティストが集うクルー”YBN”の一員としても知られるYBN Almighty Jayの新作ミュージックビデオ。同クルーを率いるYBN Nahmirと、AtlantaからGucci Maneを招いた曲。スカスカなビートとダラリとした三者のフロウは中毒性高し。美女も満載で必見。


ホームタウン参照:
https://www.xxlmag.com/news/2018/04/ybn-almighty-jay-interview-the-break/



Styles P – Change feat. Cris Streetz


音源公開日2019年4月19日
収録タイトルS.P. The GOAT: Ghost of All Time (2019年5月3日リリース予定)
元ネタ

New YorkはYonkersのラッパーで、ベテラングループThe Loxの一員でもあるStyles Pの新曲。彼にしては珍しく、New York CityのシンガーCris Streetzを招いたメロウなサウンド。日頃正統派でコアなタイプのラッパーが聴かせるこういった楽曲には、独特の味わい深さがある。



Key Glock – Yea!! 


ビデオ公開日2019年4月18日
収録タイトルGlockoma (2018年11月23日リリース)
元ネタ

Tennessee州Memphisのラッパーで、”~シーンの大きな変化を感じた1年を振り返る~ Playlist:「The Best of 2018」“にも選出したKey Glockの新作ミュージックビデオ。Moneybagg YoからEminemまで手掛ける同郷のプロデューサーTay Keithによるビートは、この地らしいダークなTrap。そんなビートとは対照的に熱量のあるラップも強烈だ。



French Montana – Slide feat. Blueface & Lil Tjay


ビデオ公開日2019年4月18日
収録タイトル
元ネタ“Snoop Dogg –
Serial Killa feat. Tha Dogg Pound, RBX & The D.O.C.[1993]”

New YorkはBronx出身のラッパー、French Montanaの新作ミュージックビデオ。やや西海岸寄りのサウンドかと思いきや突如ビートが” Snoop Dogg – Serial Killa”に切り替わる飛び道具的な曲。更に元ネタの一節に加え、”Dr.Dre – Fuck wit Dre Day”へのオマージュと思われるリリックも確認出来る。同郷のラッパーでケロった歌声が印象的なLil Tjayと、Los AngelesのラッパーBluefaceの存在も良いアクセントに。



Bumpy Barz – We Be II Rap feat. Oygredrum781 


ビデオ公開日2019年4月20日
収録タイトル
元ネタ

California州Inglewoodのラッパー、Bumpy Barzの新作ミュージックビデオ。同郷のベテランOG、OYG Redrum781を招き、ハイドロ音が終始鳴り続ける西海岸らしい曲。サウンド/ビデオからビシビシと伝わる、チープでローカルなギャングスタ臭にとにかく痺れる。色々な意味で真っ赤に染まりそうな空気が漂う。



Keak Da Sneak & Kafani – Bout That Paper
feat. Bankroll Fresh, Sav Da Money Maker & Smurf Hicks


ビデオ公開日2019年4月18日
収録タイトル Lean and Cookies  (2019年2月15日にちリリース)
元ネタ

共にCalifornia州Oaklandのラッパー、Keak Da SneakとKafaniによる新作ミュージックビデオ。この両者にProject Patが加わったコラボアルバム「Lean and Cookies」に収録された曲で、2016年3月に凶弾に倒れたAtlantaのラッパーBankroll Freshも参加している。Trapをベイエリア流の音使いで仕立てた本曲は、地味ながらも癖になる一曲。Keakは銃器の違法所持で16ヶ月の刑期が宣告されているが、2017年に銃撃を受けて以降車椅子での生活を余儀なくされており、その状態でのムショ生活は危険であるとして寛大な処置を求める動きも起こっている。



Doe Boy – Walk Down 


ビデオ公開日2019年4月20日
収録タイトルStreetz Need Me 2 (リリース日不明)
元ネタ

Ohio州East Clevelandのラッパー、Doe Boyの新作ミュージックビデオ。 リリックやフロウ、ファッションからも分かる通りN.W.A.らしさを押し出した斬新な曲。オールドスクールを忠実に再現(?)したフロウが絶妙だが、BPMのせいか現行シーンらしいグルーブも感じることが出来る。意表を突かれるような非常に興味深いサウンドだ。



週刊新譜る10 [2019年4月17日~24日分] まとめ

今週は、西海岸、またはそれに関連した楽曲を多く選出したが、そんな同地のサウンドにも通じるスムースな楽曲を届けてくれたE.S.G.が断トツに素晴らしかった。彼においては全国区的なメディアに登場する機会は少なく、2004年に名盤「Sailin’ Da South」が再発されて以降、日本のギャングスタラップファンたちへも新たな話題が届くことはあまりなかったように思われる。しかしベテランらしく地元を拠点にコンスタントな活動を続けており、今回あまりに”Houstonらしい”彼の新作ミュージックビデオに筆者は思わず声を挙げてしまい、迷わず選出した。同じくHouston産HipHopの”あのユルさ”が好物な方であれば絶対に喜んでいただけるだろう。

また、その他にも”Lil Dicky – Earth”は滅多にお目にかかれないような豪華な企画曲であり、チェックしておいて損は無い曲と言える。(ジャンル的に当サイトが扱う楽曲ではないようにも思えたが多めに見て貰いたい。)

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。