「Jadakiss – Me」他、週刊新譜る10(2019/10/23~10/30)

「Jadakiss – Me」他、週刊新譜る10(2019/10/23~10/30)
 

週刊新譜る10 [2019年10月23日~30日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年10月23日から30日の間にリリースされたものから選出。

Jadakiss – Me


ビデオ公開日2019年10月25日
収録タイトル
元ネタ”Peabo Bryson – Give Me Your Love [1982年]”

New York州Yonkersのラッパー、Jadakissの新作ミュージックビデオ。元ネタの”Me~“という部分に合わせてリリックを構築し、ラップ巧者の彼らしいアイデアと技術で聴かせる。ビートを手掛けているのは、“Nivea – Don’t Mess With My Man”や”Bow Wow – Like You“などのプロデュースで知られるBryan-Michael Coxで、早回しサンプリングしたサウンドが如何にもこの世代らしく嬉しい。

O.T. Genasis – Big Shot feat. Mustard


ビデオ公開日2019年10月28日
収録タイトル
元ネタ

California州Long Beachのラッパー、O.T. Genasisの新作ミュージックビデオ。Los AngelesのDJ/プロデューサーDJ Mustardがビートを手掛けており、この両者の組み合わせは恐らく3度目。O.T. Genasis名義の楽曲としては初のタッグとなる。これまではTrapのイメージが強かった主役だが、最近はすっかり西海岸らしいサウンドに傾倒しているようだ。ビートの嗜好は変われど、中毒性の高いフックなどの持ち味はここでも発揮されている。

Maxo Kream – 3AM  feat. ScHoolboy Q


ビデオ公開日2019年0月29日
収録タイトルBrandon Banks [2019年7月19日リリース]
元ネタ

Texas州Houstonのラッパー、Maxo Kreamの新作ミュージックビデオ。California州Los AngelesはSouth CentralのラッパーSchoolboy Qを客演に招いた曲。重くダークな語り口な主役も良いが、狂気を感じさせるSchoolboy Qのラップが痛快。終始漂う不気味な空気もたまらない。

A$AP Ferg &  MadeinTYO – WAM


ビデオ公開日2019年10月30日
収録タイトルFloor Seats [2019年8月16日リリース]
元ネタ

New YorkはHarlemのラッパーA$AP Fergの新作ミュージックビデオ。Georgia州Atlantaのラッパー、MadeinTYOを客演に招いた曲。両者にしては意外な西寄りのビートだが、音数の多さとキャッチーさでゴリ押ししたようなサウンドが楽しい。MadeinTYOの冷静なフロウも良いアクセントになっており、一歩間違えれば散漫になりかねないギリギリのところでクールダウンする展開もお見事。

Chance the Rapper – Hot Shower feat. MadeinTYO & DaBaby


ビデオ公開日2019年10月28日
収録タイトルThe Big Day [2019年7月26日リリース]
元ネタ

Illinois州Chicago出身のラッパー、Chance the Rapperの新作ミュージックビデオ。前述のMadeinTYOと、North Carolina州CharlotteのラッパーDaBabyを客演に招いた曲。コアなHipHopファンには好き嫌いが分かれそうな曲・ビデオではあるが、この手の非マッチョでコミカルなものはHipHopシーンにおいては定期的に出てくる訳で、飛び道具的な作品として楽しみたい。客演の顔ぶれも意外な組み合わせだが、誰が主役でも違和感が無い程コンセプトに合った人選と言える。

Big K.R.I.T. – M.I.S.S.I.S.S.I.P.P.I.


ビデオ公開日2019年10月28日
収録タイトルK.R.I.T. IZ HERE [2019年7月12日リリース]
元ネタ

Mississippi州Meridianのラッパー、Big K.R.I.T.の新作ミュージックビデオ。タイトルの通り、曲・ビデオ共に彼の地元Mississippを描いた曲。HipHop、Jazz、Funk、Bluesの要素を全て詰め込んだようなサウンドで、HipHop的な南部感ではなく、アフリカ系アメリカ人の文化・歴史的な意味での南部感を強烈に感じさせる。

Tyga – Mamacita feat. YG & Santana


ビデオ公開日2019年10月25日
収録タイトル
元ネタPublic Announcement – Mamacita [2000年]

California州Compton出身のラッパー、Tygaの新作ミュージックビデオ。同じくComptonのラッパーYGと、メキシコ出身の大御所ギタリストCarlos Santanaを客演に招いた曲。Tygaが客演として招かれた”YG – Go Loko”同様メキシカンな内容となっているが、こちらはCarlos Santanaがギターを担当しているだけに、より本格的なサウンドと言える。Public Announcementの代表曲の一つ“Mamacita”のコーラスが引用されタイトルもそのまま流用されているが、この“Mamacita”という言葉はセクシーな女性を意味するスペイン語だそう。(主にメキシコで使われる表現のようで、ShortyからNasty Girl位のニュアンス・使われ方と思われる。)

RICH – Ese Talk feat. Peso Peso


ビデオ公開日2019年10月26日
収録タイトル
元ネタ

続いては本当のメキシコ系アメリカ人ラッパーを。Texas州San Antonioのラッパー、Richの新作ミュージックビデオ。同州Houstonのラッパーで、Sauce Walkaのレーベル「The Sauce Factory」に所属するPeso Pesoを客演に招いた曲。両者共に激しく熱量のあるフロウを聴かせる。

Ceraadi – That’s What She’d Say


ビデオ公開日2019年10月28日
収録タイトル Ceraadi’s Playlist [2019年8月9日リリース]
元ネタ

California州Los AngelesはSouth Centralの姉妹シンガーデュオ、Ceraadiの新作ミュージックビデオ。本曲で聴ける何とも形容しがたいサウンドは、現行シーンのそれとは明らかに異なり新鮮な印象を受ける。このクド過ぎない独特なキャッチーさは味わい深く、既に「Roc Nation」と契約中である点からも今後大化けする可能性を秘めている。

活動拠点参照: https://rocnation.com/ceraadi/

Tinashe – Die A Little Bit feat. Ms Banks


ビデオ公開日2019年10月23日
収録タイトル
元ネタ

California州Los AngelesのシンガーTinasheの新作ミュージックビデオ。UKはロンドンの女性ラッパーMs Banksを客演に招いた曲。かつてSnoopがThe Neptunesと組んだ時のあの感じ、と言えば共感してくれる方もいるだろうか。いまいちしっくりこないスカスカなサウンドには拒否反応を覚えるが、それでもつい聴いてしまう不思議な中毒性を併せ持っている。
”2 On”のような曲を求めるファンも少なくないだろうが、安易に売れ線を繰り返すのではなく、音楽性の幅を広げるような動きを見せている彼女。“2 On”以前からの業界歴も長いだけに、本曲位の振れ幅があっても良いだろう。

週刊新譜る10 [2019年10月23日~30日分] まとめ

今週は、様々な地域・サウンドの楽曲を幅広く選出した。中でもベテランラッパーJadakissの”Me”は、リリックと元ネタを絡めた構成が上手く、懐かしさのあるビートと相まって最も楽しめた曲だった。
その他の曲も個性的なサウンドが多く選出には苦慮したが、非常に楽しい週だった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。