「Clever – It’s All Bad」他、週刊新譜る10(2019/12/25~2020/1/1)

「Clever – It’s All Bad」他、週刊新譜る10(2019/12/25~2020/1/1)
 

週刊新譜る10 [2019年12月25日~2020年1月1日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年12月25日から2020年1月1日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした34曲の中から選出。

Clever – It’s All Bad


ビデオ公開日2019年12月25日
収録タイトル
元ネタ

Alabama州Gadsdenのラッパー/シンガー、Cleverの新曲ビデオ。2019年12月8日にオーバードーズによりこの世を去った、Juice WRLDへの追悼曲。そもそもCleverの知名度が上昇したきっかけが、Juiceの2作目「Death Race for Love(2019)」での“Ring Ring”への客演だった訳で。それだけに強い思いがあることだろう。コーラスでは、JuiceがXXXTENTACION とLil Peepに捧げた追悼曲“Legends”のリリックが引用されているが、これがなんともやるせない気持ちにさせられる。Juiceの死因は「彼とその一行がプライベートジェットでの移動時に銃や薬物を所持していたことをパイロットが通報、その後待機していた警察に捜査される際、証拠隠滅を図り薬物を大量摂取した」とも言われており、本曲ではこうしたパイロットが行った“Snitch(密告)”への批判も歌われている。

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2 Chainz – Somebody Need To Hear This


ビデオ公開日2019年12月27日
収録タイトル
元ネタ

Georgia州College Park出身のラッパー、2 Chainzの新作ミュージックビデオ。昨年は3月にアルバム「Rap or Go to the League」をリリースし、同作は全米アルバムチャートBillboard 200にて最高4位を獲得。また”Ariana Grande – 7 Rings (Remix)”に客演で招かれるなど、変わらず存在感を放っていた彼。2019年後半はリリース面に関してはやや鳴りを潜めている感があったものの、最後に新曲ビデオを届けてくれた。従来のようなTrapではなくグッと洗練されたサウンドが印象的。メジャーデビューから今年で13年、一層大物感が出てきたように感じられる。

NLE Choppa – Step


ビデオ公開日2019年12月27日
収録タイトルCottonwood [2019年12月23日リリース]
元ネタ

Tennessee州Memphisのラッパー、NLE Choppaの新作ミュージックビデオ。忙しないビートと手荒なフロウにより、ゴチャゴチャとした破壊力のある曲。暴力的なリリックだけにDeath Rowのペンダントも意味ありげに光る。

Uncle Murda – Rap Up 2019


ビデオ公開日2019年12月31日
収録タイトル
元ネタ

New York市Brooklynのラッパー、Uncle Murdaの新曲。彼が年末に毎年行っている、1年間のシーンの出来事をディスを交えながら巧みにラップする恒例のシリーズだ。自身の減刑のために司法取引(=Snitch)をしたTekashi 6ix9ineと、彼を擁護する発言をしたK.Michelleへの痛烈なディス、Tekashiのように仲間を売ることはせず服役し2020年に仮釈放される可能性が出てきたBobby Shmurdaへの賛辞、Nipsey Hussleへの追悼、ドキュメンタリーの公開によって女性虐待を暴露され業界内外から猛批判を喰らったR.Kellyへのディスなど、およそ10分間2019年の様々な大ネタ小ネタが語られている。

BlocBoy JB x Hoodrich Pablo Juan x Sada Baby – Trap Neva Closed


ビデオ公開日2019年12月26日
収録タイトル
元ネタ

Tennessee州MemphisのBlocBoy JB、Georgia州AtlantaのHoodrich Pablo Juan、Michigan州DetroitのSada Babyの共演曲。三者共に2~3年前から一気に知名度を高めたラッパー達で、フレッシュな存在からすっかり中堅クラスに加わった印象を受ける。音数の少ない怪しげなビートと、三者のキレキレなラップが強烈。

Trippie Redd – Moon Walker


ビデオ公開日2019年12月29日
収録タイトル
元ネタ

Ohio州Canton出身のラッパー/シンガー、Trippie Reddの新作ミュージックビデオ。今回も独特な浮遊感のあるサウンドが楽しめる。20歳とはとても思えない手慣れたフロウを聴かせ、特に一気に感情が高ぶるコーラスは痛快だ。

Yung Bleu – Church


ビデオ公開日2019年12月27日
収録タイトルBleu Vandross 3 [リリース予定日不明]
元ネタ

Alabama州Mobileのラッパー、Yung Bleuの新作ミュージックビデオ。Trapにブルージーさを強く味付けしたビート上で、ストリートでの痛みや思いを綴った曲。かと言ってギャングスタ要素はそれ程アピールされておらず、この辺りの堅実さというか万人受けしそうな点も好印象だ。

King Rik – Drop Off A Bag feat. Dae Dae


ビデオ公開日2019年12月29日
収録タイトル
元ネタ

New Jersey州Trentonのラッパー、King Rikの新作ミュージックビデオ。Georgia州AtlantaからDae Daeを客演に招いた曲。荒削りなフロウながら、絶妙なイナタさとチープさが妙に味わい深い。

Tinashe – Stormy Weather


ビデオ公開日2019年12月27日
収録タイトルSongs for You [2019年11月21日リリース]
元ネタ

Kentucky州Lexington出身のシンガー、Tinasheの新作ミュージックビデオ。最新アルバムである「Songs for You」に収録された曲で、何とも形容しがたい独特なサウンドが楽しめる。彼女に関してはアルバムを出す度にメジャーデビュー前のMixtape時代のサウンドに近付いている気がしないでもない。が、本曲からも感じられるように、流行のビートに便乗しない姿勢は素晴らしい。

One Acen – Xpensive Habits Remix feat. JME, Ghetts & Chip


ビデオ公開日2019年12月25日
収録タイトル
元ネタ

UK出身のラッパー、One Acenの新作ミュージックビデオ。JME,、Ghetts、ChipというUKのGrimeシーンのラッパー達を客演に招いた曲。USシーンの影響は確実に受けながらも、所々加速するフロウからはGrimeらしさも感じられる。コーラスの中毒性も高い。

週刊新譜る10 [2019年12月25日~2020年1月1日分] まとめ

今週は年末年始というタイミング。そのためUSの主要メディアでもリリース情報は少なかったようで、Simple10がチェックした新曲・新作ミュージックビデオは計34曲だった。中でも注目したいのは、やはりCleverによるJuice WRLDへの追悼曲” It’s All Bad”。 Juice の死は昨年の出来事とは言え本記事公開時ではまだひと月と経っていない。ただでさえ落ち着かない年末に、曲だけで無くビデオまで作り公開したCleverの思いには耳を傾けるべきだろう。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。