「The Jacka – Can’t Go Home」他、週刊新譜る10(2020/2/5~2020/2/12)

「The Jacka – Can’t Go Home」他、週刊新譜る10(2020/2/5~2020/2/12)
 

週刊新譜る10 [2020年2月5日~12日分]

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜・新作ミュージックビデオの中から”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選し、ランキング形式で紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年2月5日から12日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース76曲の中から選出。

10位 G-Eazy – Still Be Friends feat. Tory Lanez & Tyga


ビデオ公開日2020年2月6日
収録タイトル
元ネタ

California州Oaklandのラッパー、G-Eazyの新曲ビデオ。カナダ出身のシンガーTory Lanezと、California州Compton出身のラッパーTygaを客演に招いた曲。「俺達一線を越えても友達でいられる?」と直球で問う内容が痛快。Florida州Miamiの売れっ子プロデューサーForeign Teckによるベイエリア風味の効いたビートも破壊力抜群。

9位 DKE Author – Gamble feat. Quando Rondo


ビデオ公開日2020年2月6日
収録タイトル
元ネタ

Florida州Belle Gladeのラッパー、DKE Authorの新作ミュージックビデオ。Georgia州SavannahからQuando Rondoを客演に招いた曲。シカゴのDrillミュージック勢にも通じるサウンドだが、あちらよりまとまり感がありフロウも洗練された印象を受ける。ダークなラップとメロディアスなコーラスを器用に行き来する主役の健闘ぶりが素晴らしい。Quandoの異物感も良いアクセントに。

8位 Nathaniel The Great – Cash Out


ビデオ公開日2020年2月9日
収録タイトル
元ネタ

New York市Brooklynのシンガー、Nathaniel The Greatの新曲。彼らしい甘くスムースな歌声と絶妙なローカル・インディーR&Bっぽさが味わい深い。以前の“Whine On Me”同様ミュージックビデオ映えしそうなサウンドだけに、そちらのリリースも待ちたい。

7位 Royce 5’9 – Upside Down feat. Ashley Sorrell & Benny The Butcher


ビデオ公開日2020年2月7日
収録タイトルThe Allegory [2020年2月21日リリース予定]
元ネタ ”Suzanne Vega – Tom’s Diner [1987年] ”

Michigan州Detroitのラッパー、Royce 5’9の新作ミュージックビデオ。地元のシンガーAshley Sorrellが定番ネタ“Tom’s Diner”を替え歌し、更にShady Records所属のGriseldaからBenny The Butcherも客演として参加。Griseldaの影響を受けたであろうサウンドが印象的だが、深みのある言葉はやはりRoyceらしい。

6位 Griselda – Cruiser Weight Coke


ビデオ公開日2020年2月5日
収録タイトルW.W.C.D. [2019年11月29日リリース]
元ネタ

New York州Buffaloのラッパー、Conway The Machine,、Benny The Butcher、Westside GunnからなるグループGriseldaの新作ミュージックビデオ。本曲も彼ららしいハードなサウンドと内容で、危険な香りが充満する。時代的に全方位的な人気は得難いだろうが、こういったHipHopを否定する訳にはいかない。ストリップクラブやフッドを舞台にした白黒の映像も良い。

5位 Duke Deuce – Crunk Ain’t Dead (Remix) feat. Lil Jon, Juicy J & Project Pat


ビデオ公開日2020年2月5日
収録タイトル
元ネタ“Project Pat – If You Ain’t From My Hood feat. DJ Paul & Juicy J [2001年]”

Tennessee州Memphisのラッパーで、Atlantaの名門レーベル「Quality Control Music」に所属するDuke Deuce。2019年12月にリリースされた単独でのシングル“Crunk Ain’t Dead”に、Crunkの本家本元Lil Jonと、地元のベテランで本曲の元ネタでもあるJuicy JとProject Patを招いたリミックス。Memphis感濃厚な変態フロウを放つ原曲の時点で相当な個性を放っていたが、そこへ主役のヴァースと同じフロウを物真似するJuicy J、より変態でキレキレなProject Pat、説明不要のLil Jonの雄叫びが加わるという凄まじい展開。メンツが濃すぎる割に統一感があるのは、Lil Jonをチョイ役に留めMemphis勢で固めたからか。この辺りのバランスも良い。

4位 Zuse – Lose It


ビデオ公開日2020年月6日
収録タイトル
元ネタ

California州Los Angelesのラッパー、Zuseの新作ミュージックビデオ。“アクを抜いたProject Pat”のようなフロウかと思えばそのままレゲエに飛び立つ離れ業まで披露。これで成立するのかと思うほど手数が少ないビートも怪しさ満点で、とにかく中毒性高し。

3位 Dru Hill – What You Need


ビデオ公開日2020年2月6日
収録タイトル
元ネタ

かつて一世を風靡したシンガーSisqóがリードヴォーカルを務めるR&Bグループ、Dru Hillの新曲。現在メンバーはJazzとTaoが脱退し、Def Jamにもいたグループ“Playa”から SmokeとBlackが加入した新体制となっている。全員ベテランらしくソウルフルで安定感ある歌声を聴かせるが、近年のトレンドを意識したようなパートもあり楽しめる。Dru Hill関連と言えば2016年の「Soul Train Awards」にSisqóが登場し名曲” “Thong Song”を披露したかと思えば、翌年には同グループとしてEP「Christmas in Baltimore」をリリース。確実に再始動を匂わせていた彼らだが、年内にはついに10年ぶりの新作アルバム「The Second Coming」がリリースされるとも報じられている。HipHopだけでなく、ベテランR&B勢の再活性化にも注目したい。

2位 Curren$y – Round 3 Times


ビデオ公開日2020年2月10日
収録タイトルThe Tonite Show With Curren$y [2020年1月31日]
元ネタ

California州OaklandのDJ/プロデューサーDJ Freshと、Louisiana州New OrleansのラッパーCurren$yの新作ミュージックビデオ。両者のコラボアルバム(厳密には毎回特定のゲストを招くFreshのアルバムシリーズ「The Tonite Show With~」にCurren$yを招いた)「The Tonite Show With Curren$y」に収録された曲。DJ Freshは筆者も大好きなプロデューサーの一人。今回も彼の持ち味であるスムースなサウンドが堪能出来る。温かみのあるリードシンセがユルく鳴り、そこへ乗るCurren$yの語り口もいつも通り。この気だるさがたまらない。

1位 The Jacka – Can’t Go Home feat. Freddie Gibbs


ビデオ公開日2020年2月10日
収録タイトルMurder Weapon [2020年2月28日リリース予定]
元ネタ

California州Pittsburgのラッパーで、2015年に銃撃によりこの世を去ったThe Jacka。マイナーなギャングスタラップファン・ベイエリアラップファンにはご存知の方も多いだろうベイのローカルヒーロー的存在の彼だが、現在死後初となるアルバムのリリースを控えているそうで、それに先駆けリリースされたのが本曲だ。自身の人生を振り返りながら強気な言葉を淡々と繰り出すラップに痺れる。その後登場するFreddie Gibbsは想定外のメロディアスなフロウを披露し哀愁を漂わせる。両者のヴァースからイナタいコーラスに至るまで、“洗練されたローカル感”と言えるようなサウンドが素晴らしい。

「Murder Weapon」 リリース日参照: https://hiphopdx.com/news/id.54490/title.the-jackas-posthumous-album-murder-weapon-to-feature-freddie-gibbs-curreny-more

週刊新譜る10 [2020年2月5日~12日分] まとめ

今週Simple10がチェックした主要なリリースは76曲。どちらかと言うと中堅~若手のリリースが多かったように思えたが、中でもGriselda関連は今回選出しなかった曲も複数あり活発な動きを見せていた。しかしそれ以上に注目したいのは、やはり故 The Jacka。彼の新曲というだけでも嬉しいが、その上リリースを控える新作アルバムが、”没曲の寄せ集め”ではないと確信させられるような1曲だった。そちらの内容にも期待したい。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。