「Gang Starr – Bad Name (Remix) 」他、週刊新譜る10(2020/1/29~2/5)

「Gang Starr – Bad Name (Remix) 」他、週刊新譜る10(2020/1/29~2/5)
 

週刊新譜る10 [2020年1月29日~2月5日分]

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年1月29日から2月5日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース71曲の中から選出。 ※今回から独自のランキング形式で紹介していきます。

10位 Meghan Trainor – Nice to Meet Ya feat. Nicki Minaj


ビデオ公開日2020年1月31日
収録タイトルTREAT MYSELF [2020年1月31日リリース]
元ネタ

Massachusetts州Nantucket出身のシンガー、Meghan Trainorの新作ミュージックビデオ。SoulやFunkに通じる歌声を持つ彼女だが、Nicki Minajを客演に招きここまで“コチラ寄り”の楽曲をリリースするとは想定外。難なく順応してみせただけではなく、ラストのコーラスでの爆発振りはお見事。Nicki Minajも女性ラッパーの中でも別格の安定感を感じさせる。

9位 Yo Gotti – Pose feat. Megan Thee Stallion & Lil Uzi Vert


ビデオ公開日2020年1月31日
収録タイトルUntrapped [2020年1月31日リリース]
元ネタ

Tennessee州Memphisのラッパー、Yo Gottiの新作ミュージックビデオ。Texas州Pearland出身で今乗りに乗っている女性ラッパーMegan Thee Stallionと、Pennsylvania州Philadelphia出身のLil Uzi Vertを客演に招いた曲。癖の強いビート上で、これまた癖の強い三者のマイクリレーが楽しい。コーラス前のタイトルを連呼するパートも中毒性が高い。

8位 Danny Brown – 3 Tearz feat. Run The Jewels


ビデオ公開日2020年2月3日
収録タイトルuknowhatimsayin¿ [2019年10月4日リリース]
元ネタ“Yoko Ono – Why Not [1970年]”

Michigan州Detroitのラッパー、Danny Brownの新作ミュージックビデオ。ラップもこなすNYのプロデューサーEl-PとAtlantaのベテランKiller Mikeからなるデュオ=Run The Jewelsを客演に招いた曲。原点回帰的なサウンドと、アンダーグラウンド感ある映像が素晴らしい。

7位 Wiz Khalifa – Chappelle’s Show feat. AD


ビデオ公開日2020年2月1日
収録タイトル
元ネタ

Pennsylvania州Pittsburghのラッパー、Wiz Khalifaの新作ミュージックビデオ。ビートはこれまでも彼の楽曲を多数手掛けてきた地元のプロデューサーBig Jermが担当し、California州ComptonのラッパーADを客演に招いた曲。詳細は不明だがソウルフルな元ネタを用いたユルめのサウンドが味わい深い。

6位 Badd Tattoo – Who Do You Love


ビデオ公開日2020年2月4日
収録タイトル
元ネタ“LL Cool J – Loungin feat. Total [1996年]”(Bernard Wright – Who Do You Love [1985年])

Illinois州Chicagoのデュオ、Badd Tattooの新作ミュージックビデオ。出だしから“LL Cool J – Loungin”のTotalパートをサンプリングしたと思われるビートがたまらない。同じフレーズを実際に歌ったかと思うと、癖になるようなメロで急展開。少し早いが春~初夏にかけて聴きたくなるような終始スムースなサウンドは病み付きになる。リゾート感あるビデオも◎。

5位 French Montana – 50’s & 100’s feat. Juicy J


ビデオ公開日2020年2月4日
収録タイトルMONTANA [2019年12月6日リリース]
元ネタ“Three 6 Mafia – Who Run It [2000年] (声ネタ)”

モロッコで生まれ10代の頃にNew York市Bronxに移り住んだラッパー、French Montanaの新作ミュージックビデオ。Three 6 Mafiaの“Who Run It”の声ネタを全体に敷き詰め、Juicy J本人を招いた曲。意外な顔合わせと言えるだろうこの両者、どちらも余所行き感が漂い丁寧なフロウを聴かせる。“2001系”ピアノループをTrapに乗せたようなビートも新鮮で面白い。

関連記事: Bronx(ブロンクス)を代表するラッパー10選

4位 G Perico – One More Day


ビデオ公開日2020年1月30日
収録タイトル
元ネタ

California州Los AngelesはSouth Centralのラッパー、G Pericoの新作ミュージックビデオ。現代版にアップデートされた西海岸サウンドではあるものの、伝統的なG-Funkらしさが感じられる彼らしい曲。Nipseyの死に触れながらL.A.のストリートを生き抜く葛藤が綴られ、「もう一日ください」と神に祈る。このギャングスタラップ特有の生々しさには思わず脱力してしまう。長めのヴァース1つで押し切る辺りも妙に現実味がある。

3位 Travis Barker – Gimme Brain feat. Lil Wayne & Rick Ross


ビデオ公開日2020年1月30日
収録タイトル
元ネタ

California州Fontana出身のミュージシャンで、ドラマーやプロデューサーとしてHipHop勢との共演も多いTravis Barkerの新作ミュージックビデオ。Lil WayneとRick Rossという、声もフロウも対照的な二人が参加した曲。主役によるゴリゴリでバウンシーなビートは破壊力抜群で、ビートメイカー的なサウンドとは一味違った印象を受ける。ビートの激しさに釣られてか、ラッパー二人もいつも以上に熱量のあるラップを聴かせる。

2位 Jadakiss – Kisses To The Sky feat. Rick Ross & Emanny


ビデオ公開日2020年1月31日
収録タイトルIgnatius [2020年2月28日リリース]
元ネタ

New York州Yonkersのラッパーで、ベテラングループThe Loxの一員としても知られるJadakissの新作ミュージックビデオ。リリースを控える新作アルバム「Ignatius」からの先行シングルのようで、客演にはRick Rossと、Joe Budden関連曲で一時期頻繁に登場しいていたLos AngelesのシンガーEmannyが参加。映画のシーンかと思うようなリッチなビデオが楽しめるが、そんな映像がハッタリとは感じさせない三者の存在感が良い。しっかりと歌うシンガーが絡んだHipHop、また曲の長さ的にも2000年前後のサウンドを彷彿とさせる。コーラスの途中ではビートが展開し、一気に視界が広がる流れも印象的。

1位 Gang Starr – Bad Name (Remix) feat. Method Man & Redman


ビデオ公開日2020年1月30日
収録タイトル
元ネタ “Edo G – Sayin’ Somethin’ [2000年](コスリネタ)” ”Missy Elliott & Nelly Furtado – Get Ur Freak on (Remix) [2001年]”

第1位にはやはりNew Yorkの伝説的ラップデュオ、Gang Starrの新曲ビデオを。昨年11月のリリースから未だ余韻が残る16年振りのアルバム「One of the Best Yet」に収録された“Bad Name”のリミックスバージョン(※現時点で 「One of the Best Yet」には本リミックスは収録されていません。)。「2pacとBiggieがいたらあいつらもまともだったろう」という亡きGuruのラインから始まる通りHipHopシーンの現状に喝を入れる内容だが、そこへHow Highコンビが援軍に加わった強烈な曲。筆者が特に痺れたのは普段以上にキレキレなRed Manで、「お前はHipHopの何を知ってんだ」と出だしからバッサリ。SNSやブログなどでHipHop初心者が(初心者であるにも関わらず)HipHopを語りたがる/情報を発信したがる日本の現状にうんざり気味の私には、このヴァースは痛快だった。Method ManもHipHopを“彼女”に例えるCommonのアレを引用するなど聴き所満載。




週刊新譜る10 [2020年1月29日~2月5日分] まとめ

今週は主要アーティストのリリース情報が多く、Simple10がチェックした曲は71曲。特にキャッチーで個性的なものが多く楽しい週だった。中でもGang Starrは、ここ最近Red Manを改めて聴き直していた筆者には嬉しい一曲で、その内容も含めグッと来るものがあった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。