「DJ Kay Slay – Growing Up In These Streets」他、週刊新譜る10(2020/2/26~3/4)

「DJ Kay Slay – Growing Up In These Streets」他、週刊新譜る10(2020/2/26~3/4)
 

週刊新譜る10 [2020年2月26日~3月4日分]

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜・新作ミュージックビデオの中から”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選し、ランキング形式で紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年2月26日から3月4日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース69曲の中から選出。

10位 Lil Baby – Heatin Up feat. Gunna


ビデオ公開日2020年2月28日
収録タイトルMy Turn [2020年2月28日リリース]
元ネタ

Georgia州Atlantaのラッパー、Lil Babyの新作ミュージックビデオ。同州College Park出身の同世代、Gunnaを客演に招いた曲。旬な両者の共演だけに勢いを感じさせる。

9位 YFN Lucci – VVS


ビデオ公開日2020年3月2日
収録タイトルHIStory, Lost Pages [2020年2月28日リリース]
元ネタ

Georgia州Atlantaのラッパー、YFN Lucciの新作ミュージックビデオ。この手のスタイルのラッパーは多いが、彼の安定感あるフロウは別格。内省的なリリックと相まって何とも沁みる一曲。

8位 Joe Little III & Pharaoh Loco – Beautiful


ビデオ公開日2020年2月28日
収録タイトル
元ネタ

Ohio州Cleveland出身、R&BグループThe Rude Boysのメンバーとしても知られ、The O’Jaysなどのプロデュースから無名時代のJay-Zとの共演までこなしてきた大御所Joe Little IIIと、同郷の女性ラッパーPharaoh Locoによる新作ミュージックビデオ。リッチでスムースなサウンドが味わい深く、ベテランらしいコッテリとした歌声を聴かせる。アンダーグラウンドなラッパーと思われるPharaoh Locoの存在感もなかなか。

7位 Juelz Santana – Pink Eagle·feat. Dave East & Jim Jones


ビデオ公開日2020年2月28日
収録タイトル #FREESANTANA [2020年3月3日リリース]
元ネタ

前回お伝えした通り、現在獄中にいるNew York市HarlemのラッパーJuelz Santanaの新曲。その後リリースされたMixtape「#FREESANTANA」にも収録されており、同じDipsetのメンバーJim Jonesと、一世代下の地元のラッパーDave Eastを客演に招いた曲。Roc-A-Fella時代を彷彿とさせるサウンドだけでなく、主役のデビュー作に絡めたDave Eastのリリックも当時のファンには嬉しい。

6位 Elcamino – 2k20 feat Che Noir


ビデオ公開日2020年3月2日
収録タイトルMartyrs Prayer [2020年2月21日リリース]
元ネタ

New York州Buffaloのラッパー、Elcaminoの新作ミュージックビデオ。同郷の女性ラッパーChe Noirを客演に招いた曲。ビートを手掛けるのは同州Rochesterの38 Spesh。既にBENNY The Butcherとの共作でこの地のラッパーとの相性の良さは証明済みのプロデューサーなだけに、本曲も違和感無くBuffalo勢らしいサウンドとして楽しめる。

5位 Jay 305 – Do It Big feat. Dom Kennedy


ビデオ公開日2020年2月27日
収録タイトルOpm Presents: Young Nation, Vol. 2 [2019年8月9日リリース]
元ネタ

California州Los Angeles市South Centralのラッパーで、~Trapが猛威を振るった1年を振り返る~ Playlist: 「The Best of 2015」にも選出したJay 305の新作ミュージックビデオ。本曲は、同市Leimert ParkのラッパーDom KennedyのレーベルThe OPM Companyがリリースしたコンピに収録されていることから、実際は客演として参加しているDom主導のものと言えそうだ。(The OPM Company は公式サイトすら見当たらない状態なので断定は出来ないが、Jay 305のデビューアルバム「Taking All Bets(2017年)」がInterscope/ The OPM Companyからリリースされていることから、JayはOPM所属と考えて良いだろう。)ビートを手掛けるのもJohnG とHit Boyという近年Domと共闘してきたプロデューサー達で、安定感・安心感も抜群。

4位 Roddy Ricch – The Box


ビデオ公開日2020年2月28日
収録タイトルPlease Excuse Me For Being Antisocial [2019年12月6日リリース]
元ネタ

California州Comptonのラッパー、Roddy Ricchの新作ミュージックビデオ。全米シングルチャートBillboard Hot100で1位を獲得し、全米アルバムチャートBillboard 200でも1位を獲得したデビューアルバム「Please Excuse Me For Being Antisocial」に収録された曲。ここでの「Box」とは基本的に銃やその弾装を意味しているものと考えられ、銃・ドラッグ・女と分かり易いトピックを詰め込んだ内容となっている。内容に反してフロウはメロディアス、この不一致感がより一層危なさを感じさせる。

Billboardチャート参照: https://www.billboard.com/charts/billboard-200/2020-02-08
https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-01-18

3位 REASON – Trapped In feat. Boogie & Ab-Soul


ビデオ公開日2020年3月3日
収録タイトル
元ネタ

California州Carsonのラッパー、REASONの新作ミュージックビデオ。共にTop Dawg Entertainment (TDE)に所属するレーベルメイトで地元も同じAb-Soulと、同州ComptonのラッパーでEminem率いるShady Recordsに所属するBoogieを客演に招いた曲。ストリートの現状を理解している者ならではの語りと言うべきか、独特な重さと深みが入り混じる。中でもTDE軍団に紛れ込むBoogieの異物感がたまらない。

2位 SZA & Justin Timberlake – The Other Side


ビデオ公開日2020年2月26日
収録タイトルTROLLS: World Tour (Original Motion Picture Soundtrack) [2020年3月13日リリース予定]
元ネタ

Missouri州St. Louis, Missouri出身のシンガーSZAと、ポップスターJustin Timberlakeによる新作ミュージックビデオ。2016年に公開された3Dアニメ映画「Trolls」の続編、「Trolls World Tour」のサウンドトラックに収録予定の曲。(Justinは両作に声優としても出演。)自信を失った人を勇気付けるような前向きな歌詞と、Justinが制作にも関与した70~80年代ディスコ風のサウンドが印象的。
尚「Trolls World Tour」は現時点で日本での公開は不明、アメリカでは4月17日からの予定だ。

1位 DJ Kay Slay – Growing Up In These Streets feat. Raekwon, AZ & Ghostface Killah


ビデオ公開日2020年2月27日
収録タイトルLiving Legend [2020年3月6日リリース予定]
元ネタ

New York市Harlem出身のベテランDJで、2019年のHipHop/R&Bベスト Playlist:「The Best of 2019」にも選出したDJ Kay Slayの新作ミュージックビデオ。Wu-Tang Clanのメンバーとしても知られる実力派RaekwonとGhostface Killahに加え、同市Brooklynのベテランで”Nas – Life’s A Bitch”での客演でも知られるAZを迎えた豪華な曲。やはりこの手のMCやサウンドこそが「リアルなHipHopだ」と考える風潮は未だ根強いようで、YouTubeのコメント欄でもそういった声が目立っている。昨今のシーンを見ればコアなHipHopファンであればある程“欲求不満”に陥っているのは明白で、本曲はそういった層の安定剤のような役割を果たしてくれるだろう。”Gang Starr – Bad Name (Remix) feat. Method Man & Redman”などと同じく、時代遅れではない“不変的なHipHopの基本形”として今週の1位に選出したい。

週刊新譜る10 [2020年2月26日~3月4日分] まとめ

今週Simple 10がチェックした主要なリリースは69曲。その中から、原点回帰的なHipHop、現在主流のHipHop、R&B~歌モノをバランス良く選出した。中でも実力派MCsを召集した”ドラマキング”DJ Kay Slayの”Growing Up In These Streets”は、HipHop本来のサウンドやスタイルを体感させてくれる嬉しい曲だった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。