「Don Q – I’m Not Joyner」他、週刊新譜る10(2019/1/24~30)

「Don Q – I’m Not Joyner」他、週刊新譜る10(2019/1/24~30)
 

週刊新譜る10 [2019年1月24日~30日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年1月24日から30日の間にリリースされたものから選出。

Don Q – I’m Not Joyner

ビデオ公開日2019年1月26日
収録タイトル
元ネタPuff Daddy – Victory feat. The Notorious B.I.G. & Busta Rhymes (1997) (
Bill Conti – Going The Distance )

New YorkはBronxのラッパーDon Qによる、Troy Lanezへのディス曲。現在Troyの

という発言(厳密にはJoyner Lucasや他ラッパーとのビーフや、自信満々な一連の言動も含まれているだろうが)を発端に、Don Qや他のラッパーを巻き込んだビーフが巻き起こっている。Hookも無く、終始緊張感が漂うかなりハードなディス曲だ。

ニュース: Don Qに関する記事が掲載されています。


Tory Lanez – Don Queen


ビデオ公開日2019年1月28日
収録タイトル
元ネタDrake – Duppy Freestyle (2018)

そしてDon Qからのディスに早速反応したTroy Lanez。シンガーらしい甘い歌声を聴かせることの多い彼だが、ここではしっかりとラップで対抗。かつてDrakeがリリースしたPusha TとKanye Westに向けたディス曲”Duppy”のビートを用いて、こちらも戦闘モード。
尚、当記事執筆時では既にDon Qからの更なるアンサー曲や、巻き沿いを食らったDreamdollを始め他ラッパーからのディス曲も発表されているが、これ以上掘り下げることは記事の趣旨と異なるため割愛。



Styles P – Never Fight an African


ビデオ公開日2019年1月24日
収録タイトルDime Bag
元ネタ

New YorkはYonkersのラッパーで、先週(「週刊新譜る10(2019/1/17~23))登場したSheek Louchと同じThe Loxの一員、Styles Pの新作ミュージックビデオ。 Talib KweliやThe Gameらのプロデュースで知られるJ Rhodesによるパーカッシブなビートを、ベテランらしい安定感あるフロウで乗りこなす。民族音楽のようなコーラスも中毒性高し。



Shy Glizzy – 30’s 50’s 100’s


ビデオ公開日2019年1月28日
収録タイトルFully Loaded
元ネタ

Washington, D.C.のラッパー、Shy Glizzyの新作ミュージックビデオ。浮遊感のあるシンプルなビートと程良く力の抜けた語り口が心地良い。昨年10月にリリースされたアルバムで、全米アルバムチャート「Billboard 200」で最高35位を獲得した”Fully-Loaded”からの一曲。



Yella Beezy – Keep It On Me 


ビデオ公開日2019年1月29日
収録タイトル Ain’t No Goin’ Bacc
元ネタ

Texas州Dallasのラッパー、Yella Beezyの新作ミュージックビデオ。同郷のプロデューサーShun On Da Beatが手掛けるビートは、Trapブーム以前から存在する本来のTexasらしいサウンド。Yellaのフロウも独特なユルさ/イナタさがあり、ご当地感がかなり感じられる。



YBN Cordae – Locationships 


ビデオ公開日2019年1月28日
収録タイトル
元ネタ

Maryland州Suitlandのラッパー、YBN Cordaeの新作ミュージックビデオ。若手らしからぬ熟れたラップが印象的。YBN Nahmirによって結成されたクルー「YBN (Young Boss N****z)」の一員で、昨年はDr.Dreとスタジオ入りしたことも報じられているだけに、若手ラッパーの中でも注目株の一人と言える。



Young Buck – UnRap


ビデオ公開日2019年1月24日
収録タイトル
元ネタ

Tennessees州Nashvilleのラッパー、Young Buckの新作ミュージックビデオ。この曲は、同じG-unitの仲間であるはずの50CentとUncle Murdaへ向けたディス曲。Uncle Murdaによる2018年の出来事をまとめた楽曲”Rap Up 2018″( 週刊新譜る10(2018/12/27~2019/1/2) にて紹介)の曲中で、同年騒がれたBuckのゲイ疑惑をネタにしたこと(及び疑惑発覚後の彼らの一連の反応)が発端と見られる。ビーフの行方はさておき、楽曲自体はいつも通りのダークで不穏なサウンドで、ローカルなギャングスタ臭が漂う。



Benny The Butcher – Rubber Bands & Weight


ビデオ公開日2019年1月24日
収録タイトルTana Talk 3
元ネタ

New York州Buffaloのラッパー、Benny The Butcherの新作ミュージックビデオ。同郷でありGriselda RecordのレーベルメイトでもあるConway、Westside gunnらと同様に、彼もまた東海岸らしい伝統的なHipHopを聴かせる。HipHopの原点に立ち返ったような、The Alchemistによるビートとの相性は抜群だ。



Boogie – Soho feat. J.I.D

ビデオ公開日2019年1月28日
収録タイトルEverythings For Sale
元ネタ

California州Comptonのラッパーで、Eminem率いるShady Recordsと契約中のBoogie (注:InglewoodのDisko Boogieや、NYのA Boogie Wit Da Hoodieとは別人) の新作ミュージックビデオ。キャラは違えどどうしてもKendrick lamarが脳裏を過ぎるサウンドと芸風だが、聴き手もそのつもりで聴くことが出来るのである意味分かりやすいとも言える。
この曲が収録されている1月25日にリリースされたばかりのデビューアルバム” Everythings は、「Billboard 200」にて初登場28位を獲得。同作は全体を通してShady Recordsらしさを抑えKendrickに寄せたような中途半端な印象もあっただけに、意外と不発に終わるのでは?というのが筆者の感想だが、それでも非常に気になる存在である。今後どういった動きを見せるのか注目したい。



Arin Ray – Reckless


ビデオ公開日2019年1月30日
収録タイトルPlatinum Fire (Deluxe)
元ネタ

Ohio州Cincinnati出身のシンガーで、オーディション番組「The X-factor(US版)」に出演したことでも知られるArin Rayの新作ミュージックビデオ。角の無い優しい歌声で、しっとりとした世界へ誘う良質なR&B。この曲は、昨年3月にリリースされたアルバム” Platinum Fire”のDeluxeバージョンのみに収録されている。



週刊新譜る10 [2019年1月24日~30日分] まとめ

今週はTroy Lanez関連やG-unitのビーフに纏わる楽曲を交えながら、すでにメジャーで活躍するための基盤が出来ているような中堅~若手クラスのアーティストを多めに厳選した。中でも、格上と言えるTroy Lanezに噛み付いたDon Qは、ここ最近知名度を一気に上げてきているラッパーなのでチェックしておきたい存在だ。
世代交代について、「何かをきっかけに起こる」というよりは「常に起こり続けている」とも考えられるHipHopシーンだけに、チャート上位組み以外の彼らのような存在にも目を向けておきたい。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。