「Eminem – Godzilla」他、週刊新譜る10(2020/3/4~3/11)

「Eminem – Godzilla」他、週刊新譜る10(2020/3/4~3/11)
 

週刊新譜る10 [2020年3月4日~11日分]

7日間ごとにアメリカのHipHop/R&Bの新譜・新作ミュージックビデオの中から”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選し、ランキング形式で紹介している当サイトのメインコーナー。 今回は2020年3月4日から11日の間にリリースされたもので、Simple10がチェックした主要なリリース58曲の中から選出。

10位 Ro James – Touchy Feely


ビデオ公開日2020年3月6日
収録タイトル
元ネタ

ドイツ生まれ、アメリカ育ちのシンガー、Ro Jamesの新曲ビデオ。Trapをベースにしつつこれ以上無い程ベッドルーム向けな空気を纏ったビートは、Atlantaのプロデューサー軍団808MafiaからMP808によるもの。官能的な内容、サウンドが癖になる。

9位 Shay Gooph – Rosa Parks


ビデオ公開日2020年3月4日
収録タイトル
元ネタ

Michigan州Detroitのラッパー、Shay Goophの新作ミュージックビデオ。似たようなキャラクターの女性ラッパー(これは女性ラッパーに限った話では無いが)で溢れるシーンにおいて、オリジナリティを感じさせる彼女。アンダーグラウンドな存在と思われるが、「誰々っぽい」と簡単に言い表せないこういった楽曲は面白い。

8位 Monique Lawz – Worth It feat. Wiley


ビデオ公開日2020年3月9日
収録タイトル
元ネタ

UKはロンドン出身のシンガー、Monique Lawzの新曲ビデオ。同じくロンドンからGrimeシーンを牽引するラッパー、Wileyを客演に招いた曲。気温も上がり始める春先にはぴったりのダンスホールサウンドが心地良い。この手のサウンドが得意なはずのWileyが8小節しか登場しないのは惜しいが、格上の存在感を抑えた分主役の歌声が引き立つ。結果として、必要以上にダンスホール過ぎないすっきりとした耳辺りに。

7位 Lil Skies – Havin My Way feat. Lil Durk


ビデオ公開日2020年3月4日
収録タイトル
元ネタ

Pennsylvania州Waynesboroのラッパー、Lil Skiesの新作ミュージックビデオ。音源上での共演は“Rockstar”以来だろうか、Illinois州Chicago出身のLil Durkを客演に招いた曲。親交も深い上ラッパーとしても似たスタイルの両者なだけあり、どちらが主役か分からない程に違和感の無い組み合わせだ。

6位 Gunna – Skybox


ビデオ公開日2020年3月5日
収録タイトル
元ネタ

Georgia州College Park出身のラッパー、Gunnaの新作ミュージックビデオ。ふわふわと浮遊感のあるビートとフロウは中毒性が高い。この極上のユルさの中でも、ゆったりとしたパートから畳み掛けるようにラップするパートまで緩急をつけた展開も素晴らしい。ビデオも独特な世界観が楽しめる。

5位 Lil Wayne – Mama Mia


ビデオ公開日2020年3月7日
収録タイトルFuneral [2020年1月31日リリース]
元ネタ

Louisiana州New Orleansのラッパー、Lil Wayneの新作ミュージックビデオ。破壊力抜群なビートだけでなく、中盤にはWayneにしては珍しく激しいラップを聴かせる。このブチ切れ具合は爽快だ。現在主流のサウンドやスタイルの大元を辿ると、やはりこの男が発端なのだろうなと改めて感じさせられる。

4位 Megan Thee Stallion – B.I.T.C.H


ビデオ公開日2020年3月5日
収録タイトルSuga [2020年3月6日リリース]
元ネタ“2Pac – Ratha Be Ya Nigga feat. Richie Rich [1996年]” (“Bootsy’s Rubber Band – I’d Rather Be With You [1976年]”)

Texas‎州Pearlandの女性ラッパー、Megan Thee Stallionの新作ミュージックビデオ。定番ネタ”I’d Rather Be With You”を使った2Pacの有名曲“Ratha Be Ya Nigga”をサンプリングしたビートが本曲で最も美味しいポイントか。手掛けたのはMichigan州DetroitのプロデューサーHelluva Beatsで、Meganからネタを指定されての依頼だったようだ。彼女自身は相変わらず芯の強いB.I.T.C.Hぶりを聴かせるが、このビートと重なると深みが増す。

3位 Sean Price & Lil Fame – Wait For It


ビデオ公開日2020年3月9日
収録タイトルPrice of Fame [2019年12月20日リリース]
元ネタ

New York市Brooklynのラッパーで2015年に亡くなっているSean Priceと、同じくBrooklynのラッパーで、デュオM.O.P.の片割れとしても知られるLil Fame。両者のコラボアルバム「Price of Fame」からの新作ミュージックビデオ。と言っても本曲はLil’ Fameのソロで1ヴァースのみ。アルバム終盤にちょっとしたアクセントとして配置されていた曲だ。ビートもFameが手掛けていることから完全に“一人M.O.P.状態”で、十分例のむさ苦しさが感じられる。レコーディングは数年前か?と思うようなリリックも含まれるが、サウンド的にはTrapブームをやり過ごし上手く現行シーンにハマった印象だ。跳ねたビート、飾り気の無い男気溢れるフロウと、本来のHipHopらしい魅力を強烈に感じられる。 ビデオにはSeanの妻Bernadetteさんも出演している。

2位 Apollo Brown – 365 feat. Ro Spit, NameTag & Ty Farris


ビデオ公開日2020年3月10日
収録タイトルSincerely, Detroit [2019年10月29日リリース]
元ネタ

Michigan州Detroitのプロデューサー、Apollo Brownの新作ミュージックビデオ。Ro Spit、NameTag(Name tag Alexander)、Ty Farrisと同郷のラッパー達を客演に招いた曲。Apollo Brownと言えば、各地のその手のサウンドを好むラッパー達と度々共闘している印象もあるが、Detroit勢で固めた本曲は一層垢抜けないアウンダーグラウンド感が漂う。切なく都会的なサンプルを用いたビート、そこへ乗る三者の安定感あるマイクリレーが絶品だ。

1位 Eminem – Godzilla feat. Juice WRLD


ビデオ公開日2020年3月9日
収録タイトルMusic To Be Murdered By [2020年1月17日リリース]
元ネタ

Michigan州Detroitのラッパー、Eminemの新作ミュージックビデオ。2019年12月に不慮の薬物過剰摂取によりこの世を去ったJuice WRLDが参加していることや、あまりに早口なラップから音源公開時から既に各方面で話題となっている曲。怒り・鬱憤をぶちまけるリリックでまさに火を噴くモンスターと化しているが、内容うんぬんよりもラップと言う手法をとことんテクニカルに突き詰めることに振り切った印象を受ける。ビデオでは、“My Name Is”“In Da Club”“Without Me”といった過去のミュージックビデオの再現と思われるシーンや、2002年のMTV Movie Awardsや2003年のグラミー受賞時のようなかつてのEminemの格好をした少年まで登場し、懐かしい気持ちにさせられる。ここまで確信犯的な演出がされていると、例えばビデオ冒頭で主役の写真が喋り出すシーンは“Forgot About Dre”を思わせるし、床に落ちた唇を捕まえようとするシーン(文字にするととんでもないが)は“Just Lose It”か?と、あれこれ考察出来る楽しさもある。最後にはしっかりとJuiceへの追悼も。

Juice WRLD死因参照: https://www.foxnews.com/entertainment/juice-wrld-cause-of-death

週刊新譜る10 [2020年3月4日~11日分] まとめ

今週Simple10がチェックした主要なリリース曲は59曲。例のウイルスの影響か、著名なアーティストのリリース情報は現地主要メディアでも少なく感じられた。話題性の高さなどから総合的に判断し”Eminem – Godzilla”を1位としたものの、筆者の本音を言えば”Apollo Brown – 365 feat. Ro Spit, NameTag & Ty Farris”が同率1位と言える程のお気に入り。やはりこういったHipHopは無視出来ない。

皆さんも気になった曲はあっただろうか?是非新譜のチェックに活用していただきたい。