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「YBN Cordae – Thanksgiving」他、週刊新譜る10（2019/11/20~11/27）

「YBN Cordae – Thanksgiving」他、週刊新譜る10（2019/11/20~11/27）
画像引用元: https://www.youtube.com/watch?v=jZqbiq6_uuw
 

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年11月20日から27日の間にリリースされたものから選出。

目次

YBN Cordae – Thanksgiving


ビデオ公開日2019年11月26日
収録タイトルThe Lost Boy [2019年7月26日リリース]
元ネタ–

North Carolina州Raleigh出身のラッパー、YBN Cordaeの新作ミュージックビデオ。先週選出した“Nightmares Are Real feat. Pusha T”同様、グラミー賞にノミネートされたことでも現在話題のデビューアルバム「The Lost Boy」に収録されている曲。リリックは「感謝祭(※)当日に彼女を家族の元へ連れて行くも、そこでギクシャクしてしまう様子」が綴られているが、ビデオもそれに合わせた内容となっている。スムースでほっこりとしたサウンドが、一層やるせ無い思いを感じさせる。

※11月の第4木曜日に定められているアメリカの祝日。「Thanksgiving Day」「Thanksgiving」と呼ばれ、日本語では「感謝祭」とも訳される。




Paul Wall & Statik Selektah – Overcame feat. Benny The Butcher




Paul Wall & Statik Selektah – Overcame feat. Benny The Butcher


音源公開日2019年11月21日
収録タイトルGive Thanks [2019年11月28日リリース]
元ネタ “The Clark Sisters and Mattie Moss Clark – They Were Overcome (By the Word) [1980年]”

Texas州HoustonのラッパーPaul Wallと、Massachusetts州BostonのプロデューサーStatik Selektahによるコラボアルバム「Give Thanks」から、先行で公開された新曲。本曲も感謝祭にちなんだもので、New York州BuffaloのラッパーBenny The Butcherが客演に招かれている。Statik Selektahらしいサンプリングビートでありながら、Houston特有のユルさも意識したPaul Wall仕様とも言えるサウンドがたまらない。PaulとBenny The Butcherという意外な組み合わせも面白い。

Termanology & Dame Grease – Black Mask feat. Sheek Louch, Lil Fame & Wais P


ビデオ公開日2019年11月25日
収録タイトルSet in Stone [2019年9月13日リリース]
元ネタ–

Massachusetts州Lawrence出身のラッパーTermanologyと、New York市HarlemのベテランプロデューサーDame Greaseの新作ミュージックビデオ。両者のコラボアルバム「Set in Stone」に収録された曲で、YonkersからThe LoxのSheek Louch、BrooklynからはM.O.PのLil FameとかつてJay-Zのレーベル「Roc-A-Fella」に所属していたWais Pを招いたもの。実力派MC達が集い、このメンツらしい渋く正統派な東海岸HipHopが堪能出来る。

Terrace Martin – Intimidated feat. Lalah Hathaway & Rapsody


ビデオ公開日2019年11月21日
収録タイトル–
元ネタ–

California州Los Angeles出身のシンガー/プロデューサー/Jazzミュージシャン、Terrace Martinの新作ミュージックビデオ。Illinois州Chicago出身で伝説的ソウルシンガーDonny Hathawayの娘でもあるLalah Hathawayと、North Carolina州Snow Hill出身の女性ラッパーRapsodyを客演に招いた曲。Terrace Martinと言えばKendrick Lamar、YG、Snoop Doggら西海岸HipHop勢を多数手掛けてきた男。本曲でも、彼も制作に参加した「Kendrick Lamar – To Pimp a Butterfly [2015年]」辺りと同系統のサウンドを聴かせる。Jazz要素は強いが、HipHopファンもチェックしておいて損はないだろう。

ElCamino – Eat


ビデオ公開日2019年11月26日
収録タイトルElcamino 2 [2019年11月22日リリース]
元ネタ–

New York州Buffaloのラッパーで、同郷のラッパーWestside Gunnが主宰するレーベル「Griselda Records」に所属するElCaminoの新作ミュージックビデオ。同レーベルの専売特許とも言える、ダークでザラ付いたサウンドが印象的。下手ウマなコーラスも中毒性が高く、終始漂う重々しい空気もたまらない。

REASON – Flick It Up feat. Ab-Soul


ビデオ公開日2019年11月26日
収録タイトル–
元ネタ–

California州Carson出身のラッパーで、Kendrick Lamarらと同じ「Top Dawg Entertainment (TDE)」に所属する REASONの新作ミュージックビデオ。同郷のラッパーでレーベルメイトでもあるAb-Soulを客演に招いた曲。淡々としたシンプルなビート上で両者共に器用なフロウを聴かせる。西海岸流Trapと言えるサウンドは、南部のそれとは一味違った魅力がある。

Berner – Box Boy feat. Pablo Chill-E


ビデオ公開日2019年11月27日
収録タイトルLa Plaza [2019年11月11日リリース]
元ネタ–

California州San Francisco出身のラッパーBernerの新作ミュージックビデオ。南米はチリのラッパー、Pablo Chill-Eを客演に招いた曲。プエルトリコのプロデューサーYampiが手掛ける、現行ベイエリアとTrapを混ぜ合わせたようなビートが印象的。ダラリとした語り口の主役と、スペイン語のキレキレなフロウを聴かせるPablo Chill-E。対照的な両者のラップと、全体的に漂うチープでローカルなギャングスタ臭も良い。

King Combs – Naughty feat. Jeremih


ビデオ公開日2019年11月22日
収録タイトルCyncerely, C3 [2019年3月29日リリース]
元ネタ–

P.Diddyの息子として知られ、California州Los Angelesを拠点に活動するラッパー、King Combsの新作ミュージックビデオ。Illinois州Chicagoのシンガー、Jeremihを客演に招いた曲。父親譲りの主役のナヨ声ラップは、グッとBPMを落としたユルユルなサウンドと相性抜群。スムースさが一層増すJeremihの歌声も素晴らしい。

Boston George – Break Em feat. Moneybagg Yo


ビデオ公開日2019年11月25日
収録タイトル–
元ネタ–

Texas州HoustonのラッパーBoston Georgeの新作ミュージックビデオ。Tennessee州MemphisからMoneybagg Yoを招いた曲。南部本来のバウンスさ/ダーティーさが濃厚で、No LimitやCash Money全盛期を知る世代でも楽しめる。設定を間違えたんじゃないかと思うほど独特なフィルタリングがされたハンドクラップも強烈だ。

Bankroll Freddie – Lil Mama feat. Renni Rucci


ビデオ公開日2019年11月21日
収録タイトル–
元ネタ–

Arkansas州Little Rockのラッパー、Bankroll Freddieの新作ミュージックビデオ。South Carolina州Columbiaの女性ラッパーRenni Rucciを客演に招いた曲。ビデオ通りにお高く纏った”Lil Mama（＝Renni）”へ求愛する主役、それをあしらうRenniのやり取りを描いた曲。怪しげなTrapビートと相まって、このお下劣感は癖になる。

特集: Renni Rucci ～ビートジャックで掴んだ女性ラッパーの転機～


週刊新譜る10 [2019年11月20日～27日分] まとめ

今週は感謝祭関連の曲を2曲ピックアップ。改めて考えると、「祝日をテーマにした曲」という時点で日本人アーティストにはあまりない視点ではなかろうか。この辺りからも本場アメリカの、本場らしいHipHopと日常の距離感が感じられ、特に”YBN Cordae – Thanksgiving”の「如何にもありそう」なストーリーとその描写は見事だった。

他にもTermanologyとDame GreaseのコラボやTerrace Martinらの曲も、チャラさの無い渋めの曲で味わい深かった。

皆さんも気になった曲はあっただろうか？是非新譜のチェックに活用していただきたい。