「DJ Kay Slay – 24 Hours」他、週刊新譜る10（2019/2/7~2/13）

週刊新譜る10 [2019年2月7日～13日分]

直近7日間にリリースされたアメリカのHipHop/R&Bの新譜や新作ミュージックビデオの中から、”これだけは抑えておきたい10曲”を厳選して紹介している当サイトのメインコーナー。今回は2019年2月17日から13日の間にリリースされたものから選出。

DJ Kay Slay – 24 Hours feat. Papoose, Bun B, Saigon & Meet Sims

New YorkのベテランDJ、DJ Kay Slayの新作ミュージックビデオ。”ドラマキング”と呼ばれる彼らしく本曲でも豪華な客演陣を揃えている。全員燻し銀な魅力のあるラッパーたちだが、NY勢で固めた布陣の中、唯一Houstonから招かれたBun Bの異物感には痺れる。

Papoose – Precious Jewel feat. Musiq Soulchild

New YorkはBrooklynのラッパーPapooseの、自身名義の新曲を。間も無くリリースされる新作アルバム「Underrated」から、Musiq Soulchildを客演に招いたスムースな曲。程よく力の抜けた主役のラップと、Musiq Soulchildの甘い歌声、両者の持ち味が見事に発揮されている。

Buckwild – Fire feat. Remy Ma, Fat Joe, Big Pun & Reef Hustle

Papoose の妻、Remy Maが客演した曲を続けて。New YorkはBronxのプロデューサー、Buckwildの新曲。本曲は2月7日の故Big Punの命日に合わせて作られたようで、参加しているのは盟友Fat Joeをはじめ全員がBronx勢。Big Punのパートは2001年にリリースされた”My World”のアカペラではあるが、仲間達によって新曲としてリリースされたことが感慨深い。

Jim Jones & The Heatmakerz – Cristal Occasions

New YorkはHarlemのラッパーで、The Diplomatsのメンバーとしても知られるJim Jonesの新作ミュージックビデオ。これまでも同グループ関連曲を多数手掛けてきたプロデューサーデュオThe Heatmakerzによる、早回しサンプリング（筆者の調査では元ネタは不明）を用いたビートは、The Diplomatsの全盛期を思い出させてくれる。ビデオは、Jay-Zが毎年行なっている”Roc Nation Brunch”というパーティの際に撮影されたようで、Roc Nationに縁のあるラッパーが多数映っている。

T-Pain – All I Want feat. Flipp Dinero 

Florida州Tallahassee出身のシンガー/プロデューサー、T-Painの新曲ビデオ。Brooklynの若手ラッパーFlipp Dineroを客演に招いた、キャッチーな曲。主役は良い意味でいつも通りな芸風だが、Flipp Dineroはこれまでダークな楽曲が多かっただけに新鮮な印象を受ける。最近活発な動きを見せ始めたT-Painだが、新作アルバム「1UP」のリリースが近いものと思われる。

ニュース: Flipp Dineroに関する記事が掲載されています。

Key Glock – Crazy

Tennessee州Memphisのラッパーで、当サイトのプレイリスト「The Best of 2018」にも選出したKey Glockの新作ミュージックビデオ。本曲も彼らしく、Memphisのダークなご当地サウンドを聴かせる。不快さスレスレの不気味な空気は、何故か聴く程病み付きに。

Slim Thug & Boston George – How We Move

共にTexas州Houstonのラッパー、Slim ThugとBoston Georgeの新作ミュージックビデオ。2月8日にリリースされたばかりの両者のコラボアルバム「Big Bad Boston and The Boss」の1曲目に登場する本曲。ボス然とした風格と余裕を感じさせつつ、ピリピリとした緊張感が漂う。

Berner x Mozzy – Thug In Me feat. Godholly

California州San Francisco出身のラッパーBerner と、SacramentoのラッパーMozzyの新作ミュージックビデオ。 こちらも両者のコラボアルバム「Slimey Individualz（2月13日リリース）」に収録されている曲で、RichmondのラッパーGodhollyを招き、ベイエリア周辺のラッパーが集った形に。マイナーなG諸作品にも通じるローカル臭さが癖になる。

Ciara – Greatest Love

Georgia州Atlantaのシンガー、Ciaraの新作ミュージックビデオ。プロデュースはTheron ThomasとJasper Cameronという、これまでも彼女の楽曲を多数手掛けてきた制作陣。そのため目新しさは無いとも言えるが、従来の彼女らしいサウンドを堪能出来る。

Rico Love – Shine

Louisiana州New Orleans出身のシンガー、Rico Loveの新作ミュージックビデオ。 Trapをベースにしながらも、都会的で大人なサウンドが心地良い。シンプルなエレピの上ネタも間延びしないよう工夫されており、正統派でありつつ細かな音使いもお見事。

週刊新譜る10 [2019年2月7日～13日分] まとめ

今週は、筆者が調査した限りではNew York勢の動きが活発で、その辺りから多めにピックアップした。特に「DJ Kay Slay – 24 Hours」や「Buckwild – Fire」は、一曲の中でNYの実力派ラッパー達が複数参加しており、この地の層の厚さ/レベルの高さを感じることが出来る。

皆さんも気になった曲はあっただろうか？是非新譜のチェックに活用していただきたい。